2024年6月12日、アメリカの3つの州の当局者が、妊婦が引き続きCOVID-19ワクチンを接種できるべきだと表明し、米国疾病予防管理センター(CDC:the Centers for Disease Control and Prevention)の最新の指針とは異なる見解を示した。
カリフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州の保健当局者は共同声明で、「生後6か月以上のすべての個人が、現在承認されているCOVID-19ワクチンにアクセスし、接種を選択できるべきであると引き続き推奨する。特に、乳幼児、妊婦、重症化リスクのある他の人々など、ハイリスクの個人を守ることを重視する」と述べている。
CDCは2024年5月、成人向けの予防接種スケジュールを更新し、妊婦へのCOVID-19ワクチン推奨を削除した。米国家庭医師学会などによれば、保険会社は通常、予防接種スケジュールに記載されたワクチンのみを補償する。
また、CDCは健康な子どもへのCOVID-19ワクチン推奨も削除したが、小児向け予防接種スケジュールでは「保護者が子どもの接種を希望する場合、生後6か月以上の子どもは、医療提供者の臨床的判断と本人の希望や状況に基づき、COVID-19ワクチンを接種できる」と記載している。
当局者はここ数年、ワクチン製造業者に対し、毎年ワクチンの配合を更新するよう指示してきた。CDCは、過去の接種歴や感染歴にかかわらず、毎年の接種を推奨していた。
ロバート・F・ケネディ・ジュニア保健福祉長官は、これらの変更は「繰り返しブースター接種する戦略」を支持する臨床データが存在しないため行われたと述べている。
ウィスコンシン州の当局者も直後に、生後6か月以上のすべての個人へのCOVID-19ワクチン推奨を維持すると発表した。ウィスコンシン州のカーステン・ジョンソン保健福祉長官は、現行のワクチンが「重症化や死亡を防ぐ重要な手段であり続けている」と述べた。ウィスコンシン州保健福祉局は、出典の要請には回答していない。
米国保健福祉省(HHS)の広報担当者はエポックタイムズ紙へのメールで、「ケネディ長官の指導の下、HHSは医師と患者の関係を回復している。保護者が健康な子どもの接種を希望する場合、その決定は医療提供者の臨床的判断によるインフォームド・コンセント(十分な説明を受けたうえで患者が同意すること)に基づくべきだ」と述べた。
「ケネディ長官は明確にしている。公衆衛生への信頼回復は、透明性、医療の自己決定権、公平な情報へのアクセスから始まる。アメリカ国民は、政治的圧力や画一的な義務ではなく、個々の状況に基づいて健康上の決定を下す権利がある」
新たな声明で、カリフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州の当局者は、「医療専門家、専門団体、公衆衛生パートナーと引き続き連携し、推奨内容が最良の科学的知見を反映し、すべての住民の健康を守るよう努める」と述べた。
当局者らは、米国産科婦人科学会(ACOG, The American College of Obstetricians and Gynecologists)を含む一部の医療団体が、CDCによる妊婦へのCOVID-19ワクチン推奨の削除に懸念を表明していることにも言及した。
「COVID-19ワクチンは妊娠中も安全であり、接種によって患者とその新生児を守ることができる」と、同学会会長のスティーブン・フライシュマン医師は声明で述べた。
ワクチンの承認を行う米国食品医薬品局(FDA)は、現在利用可能な3種類のCOVID-19ワクチンの添付文書において、妊婦に投与されたワクチンに関する利用可能なデータは「妊娠中のワクチン関連リスクを判断するには不十分である」と記載している。ワクチンの既知の副作用には、心筋炎や重度のアレルギー反応(アナフィラキシーショック)が含まれる。
州当局者は妊婦に対する最新の助言については意見が異なるものの、その他については人々にCDCの予防接種スケジュールに従うよう勧めていると述べた。
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