「子供をこんな場所に寝かせているのか」
江西省の公立中学校でのあまりに劣悪な学生寮の実態がSNSで告発され、ネット上に怒りの声が殺到している。
世論のプレッシャーのもと、十数年間放置してきたその現実にようやく教育行政が重い腰を上げたかに見えるが、根本的な問題はそこにはない。
SNS告発
江西省贛州市信豊県にある鉄石口中学の学生寮について、SNSに投稿された映像には、サビた鉄製ベッドや腐食したベッド板、剝がれ落ちた壁、穴の開いた扉、尿臭が漂う廊下など、衛生・安全面で極めて問題のある施設の実態が記録されていた。
投稿者は「高級な設備などいらない。ただ最低限、清潔で安全であってほしい」と切実な声をあげた。
中国メディアの報道によれば、同校を卒業した地元住民は「この状況は十数年前から変わっていない」と証言。「なぜ今まで誰も改善しようとしなかったのか」という疑問と怒りが、ネット上に噴き上がった。

こうした世論の圧力を受け、現地の教育当局は6月17日、「調査チームを設置した」と発表。さらに、昨年から進めている寮の改修工事が「夏休み中に完成予定」と説明した。しかし、「新しい寮を建てているからといって、旧来の劣悪な環境を十数年も放置してきたことの言い訳にはならない」と、ネット上では厳しい批判の声が相次いでいる。
子供たちを十数年もの間、腐ったベッド板の上で眠らせていた現実──もしSNSで告発が炎上しなければ、学校も教育当局も目をそらし続けていたのではないか。
エポックタイムズはこれまでにも、中国各地の“放置された寮”の由々しき実態を報じてきたが、氷山の一角にすぎない。
子供に清潔で安全な環境すら提供できないほど、学校や地方政府は本当に困窮しているのだろうか。いや、決してそうではないはずだ。そうなると、疑問はひとつに絞られる。教育に充てられるべき資金は、いったいどこへ消えたのか。


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