アメリカのRTX Corporationのレイセオン部門(以下レイセオン)と日本の三菱電機が、先進防空ミサイル「ESSM Block 2」の国内生産で提携を発表した。日本の防衛力強化と防衛産業の自立化、インド太平洋地域における日米同盟の抑止力向上が期待される。
今週、レイセオンは、日本の三菱電機株式会社と2億5千万ドル規模の契約を結び、日本国内での先進なミサイル生産権を三菱電機に付与した。この措置により、日本の海上防衛力と防衛産業の自主性が一段と高まり、日米同盟のインド太平洋地域における抑止力が強化されることになった。
協定の内容によれば、レイセオンは、三菱電機に対して、艦艇防空用ミサイル「ESSM(Evolved SeaSparrow Missile)」ブロック2(Evolved SeaSparrow Missile Block 2、以下ESSM Block 2)の部品、コンポーネント、技術支援を提供し、三菱電機が日本国内で組立を実施する体制を構築する。
両社はこれまでに50年以上にわたり、レーダーやミサイルといった中核技術分野での協力関係を築いてきた。今回のライセンス生産は、長年にわたるパートナーシップの最新の成果であり、日本が単なる武器購入国から、防空ミサイルの重要な生産拠点へと進化したことを意味した。
レイセオンの海軍戦力事業部のバーバラ・ボルゴノヴィ社長は、「今回のライセンス生産計画は、数十年に及ぶパートナーシップの結晶である。日本がこの重要兵器に投資することで防衛能力が高まり、日米両国の安全保障同盟がさらに強固になる」と述べた。
ESSM Block 2、自律追尾能力を大幅に強化
ESSM Block 2は艦上発射型の中短距離ミサイルであり、高い機動性を備える。先進の「デュアルモード誘導弾頭」を採用し、アクティブ・レーダー・ホーミング能力を有している。これにより、発射後のミサイルは、目標を自律的に追尾でき、母艦からの継続照射を必要としない。結果として、多数の空中脅威を同時に迎撃できる能力が格段に向上した。
旧型と比較すると、誘導精度、電子妨害への耐性、デジタル処理能力などが大幅に向上した。さらに、ソフトウェアのアップグレードによって、将来的な複雑な戦場環境への対応力も保持しており、持続的な性能向上が見込まれる。
今回のライセンス生産により、日本は、インド太平洋地域における防衛供給網の強靭化にも貢献する。
レイセオンは、この種のミサイルが、多様な海軍作戦システムや垂直発射プラットフォームに統合可能である点を強調し、同盟国艦隊全体の交戦能力の向上にとって重要な要素であると評価する。
日本以外では、オーストラリア海軍がESSM Block 2をホバート級駆逐艦やアンザック級フリゲートに導入し、デンマークも今年5月に約1億3300万ドルを拠出して導入を加速し、海軍火力を増強していた。各国は、共同作戦能力の拡充に積極的な姿勢を示す。
レイセオンの見通しによれば、日本で独自に組み立てる初のESSM Block 2ミサイルは、数年以内に生産段階へ入る予定である。このプロジェクトによって、日本は重要な技術や整備ノウハウを獲得し、インド太平洋地域における主要な防衛供給国としての地位をさらに確固たるものとする。この協定の締結は、日米が連携して、第一列島線の防衛強化に向けて前進する上での重要な一歩となった。
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