中国で習近平国家主席の退陣説が急浮上中だ。軍や警護体制の変化、知識人の批判など、権力低下を示す五つの兆候を詳しく解説し、最新の中国政局動向を追う。
現在、中国政界の動向に関して、西側の専門家も注視を強めている。元アメリカ高級外交官グレゴリー・スレイトン(Gregory W. Slayton)氏は『ニューヨーク・ポスト』に寄稿し、「習近平はまもなく退陣するのか」と問いかけた。彼の記事によれば、習は今年8月に予定されている中共全体会議で政権を退くか、儀礼的なポストへ異動する可能性があるという。記事では、中国共産党(中共)軍事委員会副主席の張又侠(ちょうゆうきょう)が軍権を掌握し、胡錦濤ら中共長老が政局の主導権を握っていると指摘。また、習の権力失墜を示す五つの兆候を具体的に挙げた。
第一の兆候として、習に忠誠を誓っていた数十人の高級将校が粛清されたうえ、非習派の人物がその地位を引き継いだことが挙げられる。中には不審な死を遂げた者も含まれており、政権中枢の動揺が明白となった。
第二に、習の父・習仲勲の霊廟から名前が削除され、記念的な意味合いが排除された事実が明らかとなった。
第三に、習の個人警護チームの人員が半減し、護衛態勢が大幅に縮小された。通常、国家指導者が自ら警護を弱めることは考えにくく、この変化は異例といえる。
第四に、5月末から6月初めにかけて習は約2週間、公の場から姿を消した。この間、他の中共幹部が北京で、外国の賓客を迎えて対応していたが、習に関する説明は一切示されなかった。『人民日報』における習の掲載量も著しく減少した。
第五に、中国国内の複数の著名大学の教授が、習を名指しで批判する論文を発表し、かつての中共体制下では見られなかった事態であり、政権内部の統制力低下を物語っている。
さらに記事では、中国が経済不況に陥り、社会が不安定化している現状に触れつつ、トランプ大統領が一発の銃弾も使わず冷戦で中共に勝利する可能性を示唆した。彼は、ロシアのプーチン氏に対しても警鐘を鳴らし、「昨年シリアを失い、今イランを失いつつある。次は中国を失う可能性がある」と警告した。
記事は最後に、中国が台湾、シンガポール、かつての香港のように、自由・民主・法治の価値を基盤とする道を選ぶよう呼びかけた。
X(旧Twitter)上でも同様の見解が広がる、アメリカ保守派活動家でマーティン・キャピタル(Martin Capital)創設者のロッド・マーティン(Rod Martin)氏も同様の内容を投稿し、元国家安全保障顧問で陸軍退役中将のマイケル・フリン(Michael Flynn)氏も6月26日、「中国では明らかに権力交代が進行中である」と発信した。この投稿はトランプ大統領、ヴァンス副大統領、国家情報長官、国防長官にも共有されたという。
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