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トランプが信頼する新軍事リーダー ダン・ケイン空軍大将の実像と台頭

2025/06/30
更新: 2025/06/30

トランプ政権内で急浮上した軍事リーダー、統合参謀本部議長のダン・ケイン空軍大将の実像に注目する。彼の名はまだ広く知られていないが、近週中にトランプ大統領の最も信頼する軍事顧問としてその地位を確立した。

ケイン氏が頭角を現したのは、6月21日に実施されたイランの核施設に対する米軍の精密攻撃である。『ウォール・ストリート・ジャーナル』によれば、作戦の前、ホワイトハウスの作戦室で、トランプ大統領は多くの高官とともに作戦計画を精査していた。そこでケイン氏は地図を広げ、標的の破壊手順、パイロットの安全確保、さらにはイラン側の反撃を想定した対処法までを論理的かつ明瞭に説明した。

その的確な判断に、同席していた官僚たちは深く頷き、評価の声を惜しまなかった。ケイン氏自身も自信を持って「イラン側は我々の行動に全く気づかなかった」と明言した。

この明快かつ実務的な説明力がトランプ大統領の信頼を得た要因である。事実、この攻撃作戦はケイン氏の計画通りに進行し、成果も想定以上に良好であった。作戦終了後、トランプ大統領はケイン氏の働きを高く評価し、親愛の情を込めて「ラジン(Razin)」という空軍時代のあだ名で彼を呼んだ。

注目すべきは、ケイン氏が伝統的な意味での四つ星大将ではない点である。彼が退役した三つ星中将にすぎなかったが、トランプ大統領が政権復帰後、特例措置を取りケイン氏を現役に復帰させ、直ちに統合参謀本部議長へ昇格させた。これによりケイン氏は、アメリカ史上初の「非現役・非四つ星」で最高軍職に就いた将軍として、歴史に名を刻んだ。

ケイン氏がトランプ大統領に重用される理由は、軍事的な手腕だけでなく、軍と政治の微妙な力学を巧みに扱える点にある。トランプ政権は過去にも退役将軍を重用してきたが、政治的立場の相違から軋轢を生んだ例も多い。例えば、マーク・ミリー陸軍大将は最終的にトランプ大統領に公然と批判された。

一方、ケイン氏はこうした政治的な緊張感をうまくかわし続けている。最近の米国防総省の記者会見でも、ピート・ヘグセス国防長官がトランプ大統領を称賛した際、ケイン氏は軍事技術に話題を集中させ、「自らの軍事判断は政治の干渉を一切受けず、政治的圧力で決定を変えることは決してない」と明言した。

ケイン氏とトランプ大統領の関係は2018年に始まった。当時、イラクで米軍を指揮していたケイン氏の迅速な戦闘行動が、トランプ大統領の強い関心と信頼を引き寄せた。その後、資金調達イベントの晩餐会で、トランプ大統領は「ケイン氏の行動力と発言力は比類ない」と公言し、前政権の官僚を「口先だけで軍を妨害してきた」と批判した。

要するに、ケイン氏がトランプ大統領に重用される背景には、明確な軍事的成果と政治的センスがある。彼は常に戦略目標を的確に把握し、それに沿った実行力を発揮しながら、政治的リスクを巧みに回避している。

ただし、ケイン氏の真の試練はこれから始まる。混迷する国際情勢と、政治的課題に満ちたアメリカ国内において、彼はトランプ大統領のためにどれだけ遠隔からでも勝利の戦略を描けるのか、その手腕が今問われている。

唐青