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米国 電子設計自動化ソフト対中輸出制限を緩和 半導体産業に影響

2025/07/03
更新: 2025/07/04

米国政府は新たな米中貿易協定に基づき、中国向けEDAソフトウェアの輸出制限を解除した。主要3社が中国市場での製品・技術提供を再開し、半導体産業や国際サプライチェーンに大きな影響を与える見通し。

EDAソフトとは、「Electronic Design Automation(電子設計自動化)」の略で、半導体や電子回路、プリント基板などの設計作業を自動化・効率化するためのソフトウェアである。

世界三大EDAソフトウェア供給企業であるケイデンス・デザイン・システムズ、シノプシス、シーメンスは、アメリカ政府の方針変更を受け、中国市場向けEDA製品の輸出に際し、特別許可の申請を必要としないことを認めた。

政策調整の発効に伴い、これら三社は、中国顧客への技術支援およびソフトウェアの提供を順次再開し、ロイターが入手したシノプシス社の社内書簡によれば、同社は、3営業日以内にシステムの更新作業を完了し、中国市場への全面的なサービス提供を再開する予定である。

今回の政策変更は、今年5月の状況に遡り、当時、アメリカ側は、中国共産党によるレアアースなど戦略的鉱物資源の輸出制限に対抗し、EDAソフトウェアに対して厳格な輸出審査制度を導入していたが、その後、先週成立した新たな協定により、アメリカはEDAソフトウェアに加え、エタンやジェットエンジンといった製品についても、中国向け輸出を認める方針を打ち出した。一方、中国側は重要鉱物の輸出承認手続きを迅速化し、国際的なサプライチェーンの安定に貢献する責務を負うこととなった。

公開情報によれば、シノプシス、ケイデンス、シーメンスの3社は、EDAソフトウェア市場において、世界全体の7割以上のシェアを確保しており、中国市場でも主導的な地位を維持し、これらの企業は、中国のチップ設計産業に対して大きな影響力を持ち、その技術支援が産業の発展に不可欠な要素となっていた。輸出制限が長期化すれば、先端プロセス、人工知能(AI)、高性能コンピューティング(HPC)などの半導体研究開発に深刻な障害が生じることは避けられなかった。

EDAソフトウェアは、半導体設計における中核的なツールであり、アップルやエヌビディアといった企業による高性能チップの開発に活用されているほか、消費者向け製品や産業用部品の製造にも幅広く応用されてきた。

アメリカはこれまで、中国への先端技術の輸出を慎重に制限してきた。こうした方針は、中国共産党によるチップおよび人工知能分野での、影響力拡大を抑え込む意図に基づいた。

王君宜
王君宜