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建設業倒産 過去最多ペースに 2025年問題で人手不足深刻化

2025/07/07
更新: 2025/07/07

建設業界で倒産が急増している。帝国データバンクの発表によると、2025年上半期(1月~6月)に発生した建設業の倒産件数は986件となり、前年同期(917件)を7.5%上回った。これで4年連続の増加となり、上半期としては過去10年で最多を記録した。通年では、2013年以来となる2000件台に達する可能性も指摘されている。

倒産増加の主な要因は、資材価格の高騰、人手不足、経営トップの後継者難という「三重苦」にある。鉄骨や木材、住設機器などの価格が急激に上昇したことで、仕入れコストを販売価格に転嫁できず、事業継続を断念するケースが相次いだ。2025年上半期の倒産のうち、物価高を直接の原因とするものは118件(全体の12.0%)にのぼる。

人手不足も深刻化している。職人の高齢化が進み、若い世代のなり手が減少していることから、必要な人材を確保できずに倒産する企業が増えている。2025年上半期には、人手不足を要因とした倒産が54件(5.5%)発生し、2018年以降で最多となった。さらに、経営トップの後継者が決まらず事業承継ができない「後継者難」による倒産も69件(7.0%)と、こちらも過去最多の水準となっている。

2024年の建設業倒産件数は1890件で、こちらも過去10年で最多となった。倒産した企業の9割が従業員10人未満の小規模事業者であり、経営体力の弱い中小企業が特に厳しい状況に置かれている。資材価格や人件費の高騰に加え、コロナ禍で実施された「ゼロゼロ融資」の返済開始も経営を圧迫する要因となっている。

帝国データバンクは今後について、「2025年は多くの熟練職人が高齢を理由に引退するとみられ、人手不足は一層深刻化する」と分析している。賃上げ圧力が高まる一方で、賃金引き上げの余力が乏しい中小建設業の倒産が今後も増加する恐れがあると警鐘を鳴らしている。

2025年問題

建設業界における熟練職人の大量引退や人手不足の深刻化は、「2025年問題」と呼ばれている現象である。

2025年問題とは、団塊の世代(1947~1949年生まれ)が75歳以上の後期高齢者となることで、社会全体で医療・介護などの社会保障費の急増や労働力不足が顕在化する一連の課題を指す。建設業界でも、従事者の高齢化と若年層の減少により、2025年を境に多くの熟練労働者が引退し、深刻な人手不足と技術継承の危機が現実のものとなると広く認識されている。

実際、建設業の就業者は55歳以上が約36%を占める一方、29歳以下は約12%にとどまっており、全産業の中でも特に高齢化が進んでいる。2025年以降は、団塊世代の大量引退によって、現場の技能やノウハウの継承が難しくなることが懸念されている。

エポックタイムズの速報記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。