「雇用を安定させる」──そう繰り返してきた中国政府だが、現実はまったく逆だ。職を求める若者の間では不安や鬱が広がっている。
今年、中国では過去最多の1,222万人が大学を卒業する見通しだ。しかし、彼らを待っているのは「就職」ではなく「失業」である。
こうした現実を赤裸々に映し出したドキュメンタリー映画『卒業・失業』は、公開直後に中国当局によりネット上から封殺された。雇用不安が社会に広がる中、当局が敏感に反応した形だ。

当局は雇用安定策を次々打ち出すものの、その効果は限定的だ。中国では実質的な失業人口が数千万人規模とされ、特に目立つのは「高学歴でも仕事がない」現象だ。修士号を持つ若者が、わずかばかりの「カップ麺代」を稼ぐために配信を始め、名門大学を出た元記者が生活のために配達員に転じる。そこには「生きるためだけ」の過酷な現実が横たわっている。

封殺されたドキュメンタリー映画『卒業・失業』のなかで、こう語られる。
「今は息が詰まるような時代だ。新卒者は職の扉を叩く間もなく、門前払いを食らっている。その沈黙は、あきらめではなく、どうにもならない無力感の表れだ。彼らが本当に必要としているのは、公平に立てるスタートライン──だが、それは遠すぎる」
「卒業=失業」はもはや警鐘ではなく常態。政府が掲げる「雇用安定」の言葉とは裏腹に、事態打開の鍵となる経済改革も、民間活力の回復も見えてこない。若者の未来は塞がれ、社会不安の火種は静かに積み重なっている。

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