経済低迷と公共財政の逼迫が続くなか、中国河南省鄭州市の国有バス会社は、運行コストを補うために、昼間は乗客を運び、夜間は物流大手・順豊エクスプレス(SF Express)と提携して宅配便を運ぶ試験運用を始めた。
3000台以上の車両を抱える同バス会社は、昨年、客数の激減によって数億元(数十億円)規模の赤字に陥ったことが背景にあった。
本紙の取材に対し、鄭州市民は「失業者も多く、バスを使う人は減って、みんな節約のために歩いている」と語る。市民の懐事情に加え、配車アプリや自家用車の普及もあり、各地でバス利用は大きく落ち込んだ。
こうした副業は鄭州だけでなく、西安・武漢・南京などにも広がりつつあり、公務用車両が配送に使われる例も指摘されるほどで、ネット上では「知恵と工夫で危機を乗り越えてほしい」と評価する声がある一方、「経済崩壊の象徴ではないか」との批判も相次いだ。
パンデミックや米中貿易戦争に加え、制度的な閉塞が企業活動を萎縮させ、いまや公共インフラですら副業に頼らざるを得ない時代が到来した。

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