7月20日に投開票が行われた第27回参議院議員選挙で、自民党の保守系の有力候補である佐藤正久氏、山東昭子氏、赤池誠章氏、杉田水脈氏、和田政宗氏、長尾敬氏らの落選が相次ぎ、自民党内保守グループの影響力が大きく低下した。自民党内で長年保守派を代表してきたこれらの議員が軒並み議席を失ったことで、「自民党保守」は事実上の崩壊を迎えたとの評価も出ている。
一方、保守派のなかでも有村治子元女性活躍担当相は5度目の当選、また自民党への復党で注目されていた鈴木宗男氏も議席を守った。
今回の選挙では自民党の比例代表議席も過去最低の水準に落ち込んだ。全国の1人区や比例区では、かつては自民党が強さを誇ったが、多くの選挙区で参政党や国民民主党、立憲民主党など野党系が票を伸ばす結果となった。
特に参政党は、全選挙区への候補擁立や草の根運動を展開し、保守層や現政権に不満を持つ有権者の受け皿となった。国民民主党も政権批判票や無党派層の取り込みに成功。両党とも13議席増と大きく伸ばしており、自民保守勢力の後退がこの「新しい保守・中道勢力」の躍進につながった可能性が指摘されている。
なお、日本保守党など新興保守系政党が比例で初議席を獲得するなど、保守票そのものが自民から他党へ流れる傾向が強まったこともうかがえる。
今回の選挙の結果、自公与党は参議院で過半数を割り込み、衆参両院で過半数割れが現実味を帯びる状況となった。
これまでにも「ねじれ国会」と呼ばれる、衆参の多数派が異なるケースは過去にあったものの、与党が両院で少数派になる事態は現行憲法下ではまだない。今回もし仮に両院で与党が少数となれば、国会運営や政策決定が一層難航し、法案審議や重要政策のスピードは大幅に遅れる可能性が高い。
こうした構図の変化を受け、政策論争はより複雑化し、与野党問わず幅広い合意形成や政党再編の可能性が今後浮上していくとみられる。
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