中国・河南省信陽市の私立「陽光雨露」幼稚園で、園長が学費を持ち逃げして園を突然閉鎖する事件が発生した。被害は系列4園に及び、数百世帯の保護者が未使用の学費を失い、教員への給与も支払われていない。
園長は、幼児教育に20年以上携わる人物として地元で信頼を集めていたが、現在は行方不明となっており、警察も所在を把握できていない。
本紙が被害を受けた保護者に取材した結果、この幼稚園では、学費の前納額に応じて豪華な景品がもらえる「ポイント制キャンペーン」が行われていたことが明らかになった。保護者たちは、子どもが園内で優遇されることを期待し、先生の勧めに抗えず、際限なく前払いしていたという。中には10万元(約200万円)以上を納めた家庭もあり、教育がまるでマルチ商法のように利用されていた実態が浮き彫りになった。
事件後、保護者たちは情報共有のグループを結成し当局に対応を求めているが、返金の見通しは立っていない。
「教育が金儲けの道具にされ、子どもたちの未来が踏みにじられた」との声も上がり、教育への不信が広がっている。
こうした事件は中国各地で相次いでおり、昨年は山東省の私立幼稚園で園長が学費と設備一式を持ち逃げして夜逃げ。今年7月には武漢市でも同様の事件が起きている。
中国教育部の統計では、全国の幼稚園は過去3年で約4万1,500園が閉鎖されており、今年もさらに2万6,000園が消える見通しとなっている。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。