フランス産カマンベールチーズなどからリステリア菌による食中毒事件が発生し、成城石井は対象チーズを自主回収。妊婦や高齢者などリスクの高い層への注意喚起が広がり、食品安全への関心が高まっている。
フランスの伝統食チーズをめぐるリステリア菌(Listeria monocytogenes)による食中毒事件が、欧州から世界へと大きく波紋を広げている。現地ではカマンベールやブリーを含む白カビ系チーズ約40種類が回収され、21人が感染、このうち2人が死亡。妊婦、高齢者などハイリスク層で重症例が報告され、公衆衛生上の重大事態となった。
調査によると、感染したほとんどの患者が中央フランス・クルーズ県にある大手乳製品メーカー、シャヴグラン社の工場で6月23日以前に製造されたソフトチーズを口にしていた。原因は「旧生産ラインで使用されたミルクの汚染」と推定され、ラインは即時停止、同工場は新しい製造体制を始動したという。
この感染拡大とともに、フランス国内のスーパーだけでなく、アジアやヨーロッパ各国でも該当製品のリコールが相次いだ。シンガポールなど一部諸外国でも、該当ロットのフランス産チーズが自主回収の対象となった。
日本国内でも、成城石井が取り扱うフランス製「カマンベール ロイヤルファルコン」(250g)の自主回収を決定。対象は2025年7月3日から8月14日までに店舗限定で販売された157個で、レシートや購入履歴の持参で返金に応じる体制を整えている。輸入者は東京ヨーロッパ貿易株式会社、賞味期限は2025年8月17日。なお、回収対象そのものからリステリア菌が検出されたわけではなく、「万全を期した予防的措置」と成城石井は説明している。国内で健康被害は確認されていない。
SNS等では「妊婦なので心配」「成城石井の早い対応で安心」といった声が上がる一方、「菌自体は日本分からは出ていないのに…」という慎重論や、報道の過熱を疑問視する意見も一部で散見された。いずれにせよ、妊婦・高齢者・免疫低下者への注意喚起と、リスクコミュニケーションの重要性が再認識されている。
リステリア菌は低温でも増殖する上、加熱しないで食べるチーズからの感染リスクが高い。加熱によって死滅するため、心配な場合は十分な加熱処理もリスク低減策となる。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。