9月21日、著名な米保守派活動家チャーリー・カーク氏の追悼集会が、アリゾナ州グレンデールのステート・ファーム・スタジアムで開かれた。テーマは「遺産を築く――チャーリー・カーク氏を偲んで」。警察は来場者を10万人超と見込んでいたが、実際には20万人以上が集まり、参加者の多くを若者が占めた。トランプ政権の関係者らは式典で、カーク氏の信念と勇気を称えた。

ヴァンス副大統領「チャーリーなら善に目を向けろと言った」
JD・ヴァンス副大統領は、チャーリー・カーク氏の政治運動は「勇気を求め、努力を求めた。築くことを求め、指導者を求めた」と述べ、「チャーリー・カーク氏において、我々は偉大なアメリカの指導者を見いだした」と称えた。
ヴァンス氏は、会場の聴衆に向かい、友人であるカーク氏に電話をして助言を求めることがもうできないことを悼んだ。しかし彼は「チャーリー氏なら善に目を向け、真実のために戦い続けるよう望んだはずだ」と語った。
「彼は私を励ましただろう。彼は私たち全員を励ましただろう、善に目を向けろと。彼は、彼の殺害を喜ぶ憎悪に満ちた声があったとしても、それに対しては毎日千人の人々が彼を悼み、彼の遺産のために戦っていることを思い出させたはずだ」と述べた。
「彼は祈れと言っただろう、私は確信している。彼は私に友人のために祈れと言っただろうが、同時に敵のためにも祈れと言っただろう。神の武具を身につけ、仕事に戻れと言ったはずだ」とヴァンス氏は加えた。

さらにヴァンス氏は、カーク氏は出席者全員に、真実を語り、それを守るために毎日戦うこと、そして神が人類全体を愛していることについて語り続けるよう望んだだろうと述べた。
「チャーリーは悲惨な運命をたどった。我々は皆それを知っている。皆それを目にした」としたうえで、「だがそれが最悪の運命だとは思わない。真実を語ることを恐れて生きるよりも、銃を持つ襲撃者に直面する方がよい。信仰のために迫害される方が、キリストの王権を否定するよりはるかにましだ」と語った。
トランプ氏長男「チャーリーは恐れなかった」
ドナルド・トランプ・ジュニア氏は、カーク氏が生涯を通じて示した勇気を強調した。
「ミシガン州立大学で、我々が登壇する5分前、州警察がこう告げた。『もはやあなた方の安全を保証できない』と。左派の活動家たちが暴れ出したからだ」と述べた。
「それは撤退する十分な理由のように聞こえた。しかしそれは、チャーリーが『絶対にダメだ、行くぞ』と言った場面の一つに過ぎなかった」と振り返った。
また、2024年大統領選の終盤、アリゾナ州立大学での最後のイベントの一つを思い返した。登壇を妨げるために脅迫電話が入ったが、「我々は恐れることなく舞台に立った」と述べた。

「チャーリーが先頭に立った。彼のメッセージは当時も今も変わらない。我々は退かない。脅されても屈しない」と強調した。
RFKジュニア「対話こそ国を癒やす唯一の道」
ロバート・F・ケネディ・ジュニア福祉保健長官は、カーク氏は「我が国を癒す唯一の方法は対話だと信じていた」と述べた。
「これは特に重要なことだった。技術の時代において我々は皆、社会的リズムやアルゴリズムに取り込まれている。それは我々の脳の爬虫類的中枢に働きかけ、部族主義の衝動を増幅させる。チャーリーは、その生物学的な衝動を克服する唯一の方法は精神的な炎と共同体の形成であると感じていた」と語った。
カーク氏は「共同体を築く唯一の方法は対話だと信じていた」とも付け加えた。

「チャーリーにとって最も深い情熱は、キリストへの信仰と神への敬虔な思いだった。彼は、約千年前にアッシジの聖フランシスコが説いたように、私たちはキリストのように生きるよう努めるべきだと信じていた。日々の生活の一瞬一瞬、すべての人との関わりを祈りとして捧げるべきだと考えていたのだ」
また、「チャーリーは大きな真理を理解していた。自らを神にゆだねるとき、神の力が私たちの人生に注ぎ込まれ、真に強い存在となることができる」と語った。
ルビオ国務長官 「若者にアメリカの価値観の力を示した」

マルコ・ルビオ国務長官は、カーク氏と知り合った当時を振り返った。十数年前、友人から「大学に入り、学生に『アメリカは人類史上もっとも偉大な国であり、マルクス主義は誤りだ』と伝える団体を立ち上げようとしている若者がいる」と紹介されたのが、チャーリー・カーク氏だった。当時のルビオ氏は懐疑的で、「大学ほど難しい場所はない。共産キューバに行くほうがまだ簡単だ」と思ったという。だがその後の歩みが、その懸念が誤りであったことをはっきりと示した。
当時の社会では、多くの若者が「結婚は束縛」「子供は重荷」「アメリカは善ではなく、世界の悪の根源だ」と教え込まれていた。だが、カーク氏の声は彼らに別のビジョンを与えたのだ。
「ここから一つの声が運動を生み出した。その運動は、若者たちにこう伝えた――結婚こそ人生最大の使命であり、子供を育てることは生産的で価値ある営みだ、と。そしてアメリカはただ偉大な国というだけではなく、人類史上もっとも偉大で卓越した国だと。守るに値し、戦うに値し、次世代に伝えるに値する国だと」ルビオ氏は語った。
また、カーク氏は国内だけでなく国際的にも影響を与えたと述べた。その証拠が、NFLスタジアムを埋め尽くした人々と、トランプ氏および政権幹部の参列であるとした。
「私は海外から戻ったばかりだが、訪れた国すべてで彼の死を悼む言葉が寄せられた」と述べた。
「わずか31年の生涯で彼は影響を与えた。彼は確かに存在感を持ち、これからもこれまで以上に重要な存在であり続けるだろう」と語った。
また、カーク氏から受け取った最後のメッセージに言及した。「彼は亡くなる数日前、海外から私に連絡してきた。『私は韓国にいる。戻ったら伝えたい懸念がある』と書いていた。彼は常に視野を広げ続けていた」と述べた。
ヘグセス国防長官「精神的戦いをしていた」
ヘグセス国防長官は21日の追悼集会で、カーク氏について「これまで出会った誰よりも真理を積極的に追求した」と述べた。そのうえで「時が経つにつれ、彼は私たちと同じように悟った。これは政治の戦いではなく、文化の戦いですらない。信仰と家族を第一とする精神的な戦いだ」と強調した。
同氏は、カーク氏暗殺の翌日に牧師から「悪魔はやりすぎた」とのメッセージを受け取ったことを明かし、「彼はターニング・ポイントUSAを立ち上げたが、今この瞬間こそが米国にとっての真の転換点だ」と語った。

最後にヘグセス氏は「カーク氏はいま天で『よくやった、忠実なしもべよ』との声を聞いているはずだ。我々がその使命を引き継ぐ」と述べ、集会を締めくくった。
首席補佐官 カーク氏が「トランプ勝利の鍵」
ホワイトハウスのスージー・ワイルズ首席補佐官は追悼集会で演説し、「彼の人生、言葉、そして神・家族・祖国のために声を上げる勇気が、我々の時代で最も力強い若者の運動を築き上げた」と評価し、トランプ米大統領が2024年大統領選で勝利したのは「若者の力、すなわちチャーリーの部隊があったからだ」と強調した。
さらに「チャーリーにとってアメリカを再び偉大に(MAGA)とは、若者に運動の場を与え、居場所を感じさせることだった。大統領が言うように、MAGAは常識に根ざしており、神を敬い、家族を大切にし、国を愛し、その価値を次世代へ受け継がせるものだ」と続けた。

ワイルズ氏はカーク氏が主導した「ターニング・ポイントUSA」について、「この運動を通じて、多くの若者が人生の転機を迎えた。自ら立ち上がり、声を上げ、アメリカを本来の姿に戻そうと決意したのだ」と語った。
「チャーリーは単なる支援者ではなく、勝利の要だった。私はそのことを皆さんに保証する。チャーリーはいまも私たちを促しているはずだ――傍観せず、沈黙せず、誇りを持って声を上げ、彼が示した信念を胸に、その使命を前へ進めよと」。
国家情報長官 「真理と自由のために戦った戦士」
ギャバード国家情報長官は、カーク氏を「毎日、真実と自由のために戦士として生きた人物」であり、「彼が戦いの場として選んだのは国の学校だった」と振り返った。
ギャバード氏によると、カーク氏は、アメリカ建国の父たちが描いた理想――自由、そして言論の自由――を実践した人物だった。意見が対立してもなお、互いの自由を尊重するという理念である。
「彼はかつてこう語った。『私はあなたの意見に賛同しないかもしれない。だが、あなたが声を上げる権利を最後の瞬間まで命をかけて守る』と」

「学校とは本来、若者に批判的に考える力を育み、意見を戦わせ、理性のぶつかり合いを通じて自分を鍛える場であるはずだ。ところが実際には、多くの学校が議論を封じ、『言葉は暴力だ』として異論を排除している。神について語る者や、『性は二つしかない』といった単純で客観的な事実を口にする者に対してさえ、『発言する資格はない』と言って黙らせているのが現状だ」
カーク氏は、そうした風潮や組織に正面から挑み、人々に率直に語り、議論し、批判的に考えることを促したという。
「彼が次々と成果を上げていく中で、闇と憎しみ、そして悪の勢力が彼を黙らせようとした」とギャバード氏は述べた。
「敵を殺し、恐怖に陥れて口を閉ざさせようとする――それが彼らの手口だ。だがチャーリーが直面した悪は、彼らの歪んだ思想をかえって明るみに出した。チャーリーを黙らせようとしたその行為によって、むしろ彼の声はこれまで以上に大きく響き渡っている」と語った。
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