国内の金価格が節目となる2万円を突破した。地金商最大手の田中貴金属工業は9月29日午前9時30分、店頭小売価格を前週末比78円高い1グラムあたり2万18円と発表し、過去最高を更新した。
背景には、国際的な金相場の上昇と為替の円安基調がある。ニューヨーク金先物は米国の利下げ観測やウクライナ情勢、中東情勢などの地政学リスクを受け、安全資産としての金需要が高まったことから高値圏で推移している。さらに外国為替市場では、日米金利差を背景に円安が進行し、円建ての国内価格を押し上げた。
世界的なインフレも追い風となっている。通貨の価値が目減りするなかで、実物資産である金を資産防衛の手段として選ぶ投資家が増加。各国の中央銀行も外貨準備の多様化を目的に金の購入を増やしており、需給面でも価格を支えている。
金価格はこれまで「有事の資産」として株式市場の下落局面などで買われてきたが、近年は投資や資産保全の対象として注目度を一層高めている。今回の国内2万円突破は、国際金融市場の不透明感と円安の長期化が重なった象徴的な出来事といえる
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