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メキシコのシェインバウム大統領 対米貿易に自信 中国への関税強化で国家利益を優先

2025/10/06
更新: 2025/10/06

メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は10月5日、メキシコシティのソカロ(憲法広場)で行われた就任1周年記念の演説において、アメリカおよび他国と有利な貿易協定を締結できると自信を示し、国家の利益を守るために中国に対して関税を課す方針を改めて表明した。

シェインバウム氏は気候科学者であり、メキシコシティ市長を務めた経歴を持つ。昨年、大統領に当選して以来、70%を超える支持率を維持しており、最大の貿易相手国であるアメリカとの貿易関係の維持と均衡に力を注いできた。

メキシコは、アメリカおよびカナダとの間で自由貿易協定(USMCA)を締結しており、基本的にアメリカからの関税措置の影響を受けていないが、この協定は来年に見直しの時期を迎える。

シェインバウム氏は式典の中で、「アメリカをはじめとする世界各国との貿易関係において、良好な協定を締結できると確信している」と述べた。

また、メキシコは、貿易協定を締結していない国々、特に中国に対して新たな関税を課す方針を示し、国家の利益を守る意志を強調した。これについては、アメリカと連携して中国に対抗する貿易戦略に呼応する動きとの見方もある。

メキシコ政府は、9月10日に中国などの非FTA締結国からの輸入品に対し、10~50%の関税を課す方針を発表した。対象は、自動車および部品、オートバイ、繊維製品、衣料品、家電、家具、鉄鋼など多岐にわたる。

シェインバウム政権が議会に提出した法案の草案には、約1400品目の関税リストが含まれており、520億ドル(約7兆6千億円)相当の輸入品に影響を与える。このリストは中国だけでなく他国も対象としており、中国が第三国経由での輸出によって関税を回避する動きを防ぐことが目的である。

就任1年目の政権運営を振り返る中で、シェインバウム氏は国家主権の擁護に政府が尽力していると強調し、アメリカのトランプ大統領が両国間の湾を改名したことに対する論争に触れた。そのうえで、メキシコシティとヌエボ・ラレドを結ぶ主要鉄道に「メキシコ湾列車(Gulf of Mexico Train)」という名称を提案し、この案は国民からの支持を得ている。

さらに、政府は今後数週間のうちに、「メキシコ製造(Hecho en México)」プロジェクトの最新の進展を発表する予定である。これには、電気自動車、半導体、衛星およびドローンの開発が含まれ、人工知能の研究所の設立も計画されている。これらの取り組みは、メキシコのハイテク分野における競争力を高め、変化する世界の貿易環境に対応することを目的としている。

曾子衡