中国・江蘇省啓東市 (けいとう-し)の人気観光地・黄金海岸(こうごんかいがん)で、観光客を乗せた園内の観光用車両が暴風にあおられ海に転落し、4人が死亡した。事故は10月18日に発生していたが、当局が公表したのは8日後だった。
目撃者によると、当日は最大風速20メートルを超える暴風が吹き荒れていた。車両は窓のないオープン型で、17人を乗せたまま防波堤を走行中に大波に直撃され、車体ごと海に転落したという。現場映像には、波にのまれる車体の姿が映っていた。
事故当日は強風警報が出ていたにもかかわらず、運営会社は運行を強行。前日の警告を無視した形となった。
事故後、記者が市や観光区、警察などに問い合わせても「知らない」「うちの管轄ではない」「公式発表を待て」の一点張り。責任の所在はたらい回しにされ、誰も答えようとしなかった。報道が出たのは一週間後だった。
ようやく25日になって、地元政府は死亡者が4人であることを認めたが、通報文には「デマを広めないように」との一文が添えられ、隠蔽を批判する声がさらに高まった。
SNSでは「自然より恐ろしいのは沈黙だ」「また隠したのか」と怒りが噴出。「事故が起きれば隠し、隠せなくなれば『デマを信じるな』もう何度この光景を見たことか」「人命よりメンツを守る国、それこそが最大の災害だ」といった投稿が相次ぎ、国民の長年の不信と憤りが再び表面化した。
黄金海岸景区は中国の「AAA級観光地」に指定されている。これは観光地の質を国が5段階で格付けする制度の中で中位にあたるランクで、整備や集客力の面で一定水準を満たした観光地とされる。2017年には江蘇省の省級湿地公園にも認定され、長江デルタ周辺では人気の観光スポットとして知られていた。
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