中国・内モンゴル自治区赤峰(せきほう)市で、官製メディア「紅山晩報」が「無料で白菜を刈れる」と報じたことをきっかけに、数百人が畑に押し寄せ、収穫前の白菜を奪い去る事件が起きた。被害はおよそ400畝(約4万平方メートル)、損失は100万元(約2100万円)にのぼる。
このメディアは短い動画をSNSに投稿し「無料で掘れるジャガイモに続き、今度は無料で白菜を刈れる」と紹介。畑の住所まで公開していた。
その結果、車で集まった人々が包丁や袋を手に畑へなだれ込み、次々と白菜を切り取り、わずか2日で畑は一掃された。
畑の持ち主の男性は「一度も無料で配るなんて言っていない」と怒りをあらわにする。混乱のピーク時には七〜八百人が畑に押し寄せ、制止することもできなかった。「みんなが笑顔で帰る中、私たちは泣くしかなかった」と語った。
事件の発端は、10月中旬にネット上で広まった「雹(ひょう)で傷んだ白菜を無料で配っている」という投稿だった。官製メディアは内容を確かめず報道し、噂が瞬く間に拡散した。
被害農家は警察に通報したが立件されず、いまも解決策はない。
一方「紅山晩報」は問題の動画を削除し、コメント欄も閉鎖したが、謝罪も補償も行っていない。
男性は11月8日に再び動画を投稿し「誰も責任を取らない。いずれにせよもう畑はやらない」と、怒りと絶望をにじませた。
(略奪現場となった白菜畑の様子。村民らが車で畑に入り、次々と白菜を持ち去る)
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