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中国 「彼の罪は何?」 沈黙を強いられる社会にネット民の怒りが渦巻く

完全封殺へ 中国の人気配信者・戸晨風が官製メディアに名指し批判

2025/11/16
更新: 2025/11/16

中国の人気セルフメディア配信者・戸晨風(こ・しんぷう)が、ついに官製メディアから公開処刑を受けた。

11月5日放送の国営テレビ「法治オンライン(法治在線)」は、戸晨風を名指しで批判し「社会の対立を煽り、群衆の感情を操作している」と断じた。事実上の「思想犯」として断罪に、国内外から波紋が広がっている。

同アカウントはこれまでにも当局により計5回削除・封鎖されていたが、国家放送での名指し攻撃は初めて。SNSでは「今回は完全に終わった」と落胆する声の一方で、「彼の罪は何だ」と怒りや疑問が噴出している。

 

封殺された戸晨風のSNSアカウント(スクリーンショット)

 

戸晨風は、中国社会の格差と貧困をテーマにした動画で知られる。

「各国の1日分の給料でスーパーで何が買えるか」シリーズや、月100元(約2千円)の年金で暮らす高齢者を取材した映像など、庶民の実情を淡々と伝える内容が多かった。政治的発言はほとんどなかったが、貧困や格差を映すこと自体が「体制批判」と見なされた。

 

中国各地のスーパーを訪れ、庶民の暮らしを取材する戸晨風(過去の動画よりスクリーンショット)

 

今回、CCTVが問題視したのは、戸晨風の「アップル人とアンドロイド人」発言。彼は「アップル人はエリートを象徴し、アンドロイド人は庶民を象徴する」と語ったが、これが「階級対立を煽動する」として断罪された。現在、中国のSNSでは「アップル人」「アンドロイド人」という言葉自体が検閲対象となり、投稿は次々と削除されている。

それでもネット上では、戸晨風への公開処刑を「真実を語った証」と捉える声も多く、彼が受けた不公平に世論は怒りを募らせている。「ここまで言論が締めつけられるようになったのか」と落胆する声も相次ぎ、中国社会に広がる沈黙と恐怖の空気を象徴する出来事となった。

 



封殺された真実「月2000円で生きる高齢者」 貧困に沈む大国(1)

月2000円で生きるお婆さんと、その手を取った若者。

 

一方で、彼の封殺は海を越えて波紋を広げている。

9月に戸晨風のSNSアカウントが一斉に削除された直後から、世界各地のアップルストアで華人客らが展示中のiPhoneの壁紙を彼の写真に差し替える「デジタル抗議」が広がった。

これは、封殺された戸晨風への支援であり、中国当局の検閲に対する静かな抵抗を象徴する動きだった。

 



中国で封殺されたネット配信者 世界のアップルストアに登場

世界各地のアップルストアで、華人が展示iPhoneの壁紙を「封殺された中国人配信者」の写真に設定。検閲で消された声は、いまや「自由の掲示板」で可視化されている。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!