米上院は11月10日、2026年1月までの政府資金を賄い、SNAP(補助的栄養支援プログラム)などの主要プログラムに年間を通じて資金を提供するための法案パッケージを可決した。
この法案は賛成60票・反対40票で承認され、民主党議員8人が賛成に回った。
審議と採決は、ポール上院議員が求めた「ヘンプ由来の大麻製品」に関する修正案を含め、11月10日午後5時ごろから数時間にわたって行われ、深夜に終了した。
これにより、アメリカ史上最も長期化していた連邦政府の閉鎖は終結に向かう見通しとなった。法案は現在、下院に送付されている。
今回の妥協案の成立は、上院の中道派民主党議員の一部と共和党議員が賛成票を投じたことに支えられた。一方で、民主党が求めていた「オバマケア」の税控除延長は盛り込まれず、党内で激しい議論を呼んでいる。
法案の主な内容と影響
今回の歳出パッケージは、主に2つの要素で構成されている。1つは、政府を2026年1月30日まで運営できるようにする「つなぎ予算法案」。 もう1つは、3本の歳出法案を束ねた「ミニバス法案」である。
これによって、SNAPや「女性・乳児・子供向け栄養補助プログラム(WIC)」を管轄する農務省への通年予算が含まれている。これらの栄養支援プログラムは政府閉鎖の影響を受けており、現在も数百万人の国民が11月分の給付を全額、または一部受け取れていない状況にある。
また、法案には連邦職員を保護するための条項も盛り込まれている。具体的には、政府閉鎖中にトランプ政権が実施した大規模な連邦職員の解雇措置を撤回するほか、2026年1月30日まで職員を追加の人員削減から守る内容が含まれている。さらに、政府閉鎖が終了した際には、職員が未払いとなっている給与を受け取れることも保証される。
トランプ氏はこの合意に署名する見通しであり、10日に記者団に対し「この合意を支持する。我々は非常に早く政府を再開することになるだろう」と述べた。
下院は今週後半に再開し、法案審議を引き継ぐ予定だ。マイク・ジョンソン下院議長は、最短で12日にも法案を可決し、トランプ大統領に送付したいとの意向を示している。
民主党内で激しい対立も
政府閉鎖の終結という目標は達成されたものの、オバマケアの補助金延長が盛り込まれなかったことをめぐり、民主党内では激しい反発が起きている。
共和党とともに賛成票を投じた8人の上院議員は、民主党のディック・ダービン、マギー・ハッサン、ティム・ケイン、ジーン・シャヒーン、キャサリン・コルテス・マスト、ジョン・フェッターマン、ジャッキー・ローゼンの7氏、そして民主党と行動を共にする無所属のアンガス・キング議員である。
これらの中道派議員は、トランプ大統領の強硬な姿勢を踏まえると医療政策面での成果を得る見込みは薄いと判断し、妥協に踏み切ったと説明している。その代わりとして、共和党のジョン・チューン院内総務に対し、12月に民主党が提出する医療関連法案の単独採決を行うよう求め、一定の確約を得たとされる。
一部の共和党議員は、所得制限を設けるなどの修正を加える形で補助延長を検討する用意があると述べている。
一方、シューマー上院少数党院内総務は最終的に賛成票を投じなかったが、中道派による合意を容認したことに対し、党内左派から強い批判を浴びている。
シューマー氏は、2時間以上に及ぶ党内協議の末、「良心に従って」この合意を支持することはできなかったと説明した。
これを受け、進歩派団体プログレッシブ・キャンペーン・チャンス委員会の共同創設者アダム・グリーン氏は同日、シューマー氏に対して上院民主党の指導者職からの辞任を公に求めた。
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