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シリア ISIS打倒に向けた米主導の国連軍に参加へ

2025/11/11
更新: 2025/11/11

シリア政府は10日、トランプ米大統領との会談を受け、過激派組織「イスラム国(ISIS)」の掃討を目的とするアメリカ主導の国連軍に参加することで合意した。シリア政府関係者が明らかにした。

シリアのムスタファ情報相は同日、「シリアは『ISIS打倒のためのグローバル連合』との政治協力宣言に署名した」と発表した。同国連軍には、イラクやシリアを含む世界各地でISISと戦う89の国・地域が参加しており、シリアはテロ対策と地域の安定化への取り組みに加わる意思を示したかたちだ。

ムスタファ情報相はSNS「X」に投稿した声明で、「この合意は政治的なものであり、現時点では軍事的要素は含まれていない」と説明した。

アメリカ政府高官も本紙に対し、シリアの国連軍に参加すると話した。

なお、シリアのシャラア暫定大統領がホワイトハウスを訪問したのは、1946年のフランスからの独立以来、シリア指導者として初めてとなる。

ムスタファ情報相によると、両首脳の会談では、両国間の経済協力の拡大やアメリカの投資、さらに「シーザー法」に基づく制裁の緩和が中心議題となった。シーザー法は、シリアへの米国製品・技術の販売を禁止し、同国を国際金融システムから締め出す内容が盛り込まれており、同国への制裁の裏付けとなる。

また、両国はクルド人勢力主体の民兵組織「シリア民主軍」(SDF)をシリア正規軍に統合する計画についても議論したとムスタファ情報相は説明しており、この動きは「国家機関の統一と地域の恒久的安定を確保する」ことを目的としているという。

会談の結果、トランプ氏はシリアへの制裁免除措置を180日間延長することを決定。トランプ氏は11月10日、記者団に対し「シリアが非常に成功した国になることを期待している」と述べた。

一方、シャラア氏は同日放送のフォックス・ニュースのインタビューで、アサド政権崩壊後、アメリカとの関係において「新しい時代が始まった」と述べ、ダマスカス(シリアの首都)が地政学的パートナーとしての立場を確立する意向を強調した。

シリア国営メディアによると、シャラア氏は「シリアが安全保障上の脅威としてではなく、地政学的な同盟国として、またアメリカが特にガス採掘分野に大規模な投資ができる国として認識されることが目標だ」と語ったと報じた。

また、ISIS掃討を目的とする国連軍へのシリア参加について問われた際には、アメリカ軍のシリア駐留の理由を認めつつも、「今後はシリア政府と調整されるべきだ」と指摘。「これらの問題を議論し、ISIS対策に関する合意に至る必要がある」と強調した。

シャラア氏は昨年12月に就任。アサド前大統領はモスクワに逃れ、53年間続いたアサド一族による体制が終えた。シャラア氏は、シリアの13年にわたる内戦で勝利を宣言したイスラム主義組織ハヤト・タフリール・アル=シャム(HTS)を率いていた。

HTSは、イスラム過激派組織アルカイダに起源を持ち、2018年にはアメリカ国務省により外国テロ組織に指定されていたが、今年になりリストから除外されている。

米国とアジア太平洋地域のニュースを担当するフリーライター。