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米国 台湾に防空システム「ナサムス」を再び売却

2025/11/22
更新: 2025/11/22

11月18日、アメリカ上院は下院に続き、異議なく「台湾保証実行法案」を可決した。アメリカ国防総省は、今年の台湾向け武器売却計画を正式に承認し、17日には改めて台湾への中距離地対空ミサイルシステム「ナサムス(NASAMS)」の売却を許可した。総額は7億ドル(約1050億円)に上り、2031年までに納品される予定である。​

アメリカ国防総省は17日、アメリカ防衛大手レイセオンとの間でナサムス売却の契約を締結したと発表した。契約額は6億9千万ドル(約1035億円)で、台湾はナサムスおよび関連機器を取得する。納品は2031年末までの予定。​

ナサムスは、アメリカとノルウェーが共同開発した中距離地対空ミサイルシステムである。固定翼機、回転翼機、無人機、また巡航ミサイルへの対応能力を持ち、ウクライナとロシアの戦争でも重要な防衛手段として運用してきた。​

現在、世界の13か国でこのシステムが配備または導入されている。

評論番組「マーク時空」および「時政春秋」の司会者 マーク氏
「ナサムスの導入は、蔡英文総統の任期中にアメリカと合意していたものの、アメリカ側の防衛産業の受注集中により手続きが遅れ、実際に動きが出たのは今年になってからだ。生産契約も同時期に発出した」

台湾国防部は昨年、この防空システムが目標発見率の向上や妨害対策の強化に寄与し、有事には台湾軍と連携して領土防衛力を高める効果があると説明していた。

マーク氏
「ナサムスの特徴は、空軍が運用する空対空ミサイル(AIM-9XやAIM-120など)が転用可能なことである。台湾空軍は既にこれらミサイルを装備しており、空軍とのミサイル共用が実現する。その結果、配備の柔軟性が高まり、調達ルートも広がるため入手も容易になる点が大きな利点である」​

中国共産党(中共)が台湾に対し軍事的圧力を強める中、ナサムスは既存のミサイル防衛システムと組み合わせることで、高高度・中高度・低高度・超低高度を広範囲にカバーし、防衛体制の強化につながると期待している。

著名な軍事ブロガー 周子定氏
「この兵器導入の主眼は、台湾の低高度防空体制の強化にある。弾道ミサイルに対応する中・長距離防空システムについては、台湾産の天弓シリーズやアメリカのパトリオットミサイルが既に存在しているが、無人機や巡航ミサイル、比較的安価な標的に対しては防衛手段が十分ではない。アメリカが台湾へのナサムスの追加導入を促す意義はここにある」

18日、米国防総省のランドール・シュライバー元国防次官補(インド太平洋安保担当)はアメリカ議会で、中共によるグレーゾーンでの軍事活動や攻撃の境界が曖昧になっていると警告した。台湾の警戒準備態勢が短縮化する中、防衛兵器の導入と国内開発の両輪で抑止力の強化を目指している。

マーク氏
「このように、万一台湾が軍事衝突に直面した場合でも兵器の供給を確保できることから、長期的な防衛力強化に向けた重要な一歩と考えられる」