中国の芸能界に対する検閲が一段と強化されている。各地の公演業界の関係者によると、中国共産党(中共)の文化観光部が最近、あらゆる芸能関連の公演を「制度化」するよう求める通知を発表した。すべての公演は脚本通りに実施し、即興での演出は一切認めないとしている。アナリストによれば、中共は芸能作品で敏感な話題が扱われることを恐れ、統制を強化し続けており、そのことが政権が抱える恐怖という深層心理を反映しているとみられる。
北京の複数の演出・芸能プロダクションによると、当局からの通知では、相声(漫才にあたる)や劇場コメディなど、本来は即興性を伴う演目についても、すべて台本どおりに上演するよう求められており、いかなる現場でのアドリブや調整も許可されないという。
北京のある芸能事務所の代表である許さんは、交通事故や重大事件など、公共的な出来事に関わる内容は、いずれも公演で扱ってはならないとされている。また、否定的な感情を帯びたネットの流行語も削除するよう求められているという。
許さんは、現在、業界内部の雰囲気は明らかに緊迫しており、多くの製作チームがすでに大幅な自主検閲を始めていると明かした。
複数の芸能プロダクションや現場の業界関係者によると、番組によっては直前になって台本の再審査を要求されることがあり、一部の公演では中共の文化部門が「現場監督」として立ち会うケースもある。
業界関係者によると、こうした「全行程での審査」がすでに常態化しており、リハーサルや審査はもちろん、公演そのものまで、より大きなプレッシャーにさらされている。
カナダ在住の華人作家・盛雪(せいせつ)氏は、文学・芸術は常に中共のイデオロギー統制の中核分野であり、中共は虚構のナラティブによって政権を維持していると指摘している。
カナダ在住の華人作家、盛雪氏は「中共は、まず『嘘による統治』を行っている政権である。そのため、メディアや文学、映画、演劇、特に歴史・宗教・民族・腐敗の告発といった敏感な社会テーマについては、中共の支配や権威に挑戦しうる示唆を含むものと見なされるのだ。これらのテーマが広く拡散されれば、中共政権の『正当性』に対する国民の疑念を招くおそれがある。したがって、中共は制度設計の段階から、こうした多くの題材を厳格な審査、または検閲の範囲としてきたのだ」と指摘した。
深圳にある公益団体の創設者・艾時誠氏は、これは中国社会の矛盾がすでに臨界点に近づいていることの表れだと語った。
深圳の公益団体の創設者、艾時誠氏「これは、いまの『紅い王朝』末期において社会矛盾がますます深刻化し、統治者がいっそう恐れを抱いて、少しの火種でも燃え広がることを極度に警戒していることを示している。しかし、こうしたものは抑え込みきれるものではなく、社会の現実が抱える矛盾点や爆発点は、いずれ必ず訪れるものだ」と述べた。
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