アメリカ政治 即時の移転開始を表明

FBIパテル長官 現本部の永久閉鎖発表

2025/12/28
更新: 2025/12/28

FBI(アメリカ連邦捜査局)のカシュ・パテル長官は12月26日、約50年にわたり本部として使用されてきた「J・エドガー・フーバー・ビル」を永久に閉鎖すると発表した。

パテル氏はSNSへの投稿で、「12月26日、フーバー・ビルを閉鎖する」と述べた。同氏によると、FBIは直ちに、ワシントンD.C.のわずか数ブロック先に位置する「ロナルド・レーガン・ビルおよび国際貿易センター」への移転を開始するという。

トランプ政権は今年初め、レーガン・ビルをFBIの新拠点として発表していた。同複合施設には現在、米税関・国境警備局、環境保護庁、連邦総務庁など、多種多様な組織が入居している。また、トランプ政権による大幅な予算削減が行われるまでは、米国国際開発庁(USAID)も置かれていた。

パテル氏は、「既存のレーガン・ビルを選択したことで、数十億ドルの費用を節約できた。必要な安全対策やインフラの改修はすでに進行中であり、即時の移転開始が可能となった」と説明した。

フーバー・ビルの老朽化については、早くも2011年に政府責任局(GAO)が指摘していた。パテル氏も12月26日の投稿の中で、同ビルを従業員にとって「安全ではない」と表現している。

1970年代に建設されたフーバー・ビルは、それまで司法省庁舎内に置かれていたFBIの新たな拠点となった。1972年に元長官J・エドガー・フーバーの名を冠して命名され、1975年の落成式では、ジェラルド・フォード大統領がFBI職員を称賛し、同局を「司法省傘下における連邦法執行の要」と表現した。

フーバー・ビルの閉鎖は、パテル氏がFBI長官に就任する前からの関心事であった。同局を公然と批判してきたパテル氏は、2024年9月のインタビューで、本部を閉鎖し「ディープステート(影の政府)博物館として再オープンする」という案を提示していた。

今年、パテル氏は、指名承認前に行われた上院議員からの質疑において、クリス・クーンズ議員(民主党、デラウェア州選出)に対し、自身の発言はワシントンに勤務するFBI職員の多すぎる現状を「問題提起」し、その「重要性を際立たせる」ためのものだったと説明した。さらに、ワシントンの人員を「米国内陸部へと分散させ、現地の保安官事務所や警察官と共に働かせる」ことに尽力すると述べた。

これに対しクーンズ氏は、「もしそれがあなたの主張であるなら、擁護の余地はある。だが、建物をディープステート博物館に変えるといった発言が、私のような人間から繰り返し疑問や懸念を抱かせる原因となっているのだ」と応じた。

また、FOXニュースとの別のインタビューでパテル氏は、ワシントンへの職員の集中は、都市としてのニーズに対して不釣り合いであると指摘した。

パテル氏は5月、FBI職員の配置について次のように指摘していた。 「FBIの定員は3万8000人だが、現在は欠員が出ている。それにもかかわらず、ワシントンD.C.から半径50マイル圏内の首都圏だけで1万1000人もの職員が働いている。これは全職員の約3分の1に相当する。だが、全米の犯罪の3分の1がこの地域で起きているわけではない。だからこそ、そのうちの1500人を地方へ分散させるのだ」

議会は連邦総務庁に対し、メリーランド州の2か所とバージニア州スプリングフィールドの計3候補地から選定するよう求めていた。同庁は2023年11月までに、職員や訪問者の交通アクセスが最も優れているとして、メリーランド州グリーンベルトを「最先端の本部」建設地に選定したと発表していた。

トランプ政権が方針を転換した際、議会の民主党議員らはこの動きを批判した。バージニア州選出のティム・ケイン、マーク・ワーナー両民主党上院議員は7月の共同声明で、この変更を「性急で場当たり的な手法」であり、法執行機関にふさわしい環境を与えていないと批判した。

両議員は、「長年、民主・共和両政権は、FBIの任務遂行能力を真に満たす、安全で専用設計された本部の必要性に合意してきた。今回の発表は、長年の綿密な計画を無視し、治安や任務の専門家による勧告を軽視するものであり、決定プロセスに重大な疑念を抱かせる」と述べている。

対照的にパテル氏は、今回の移転は納税者にとっての勝利であると主張した。同氏によれば、もし新本部を建設していれば、2035年まで完成しない施設に対して国民は数十億ドルを支払うことになっていたという。

「この決断は、国土防衛、凶悪犯罪の撲滅、国家安全保障の保護という、本来あるべき場所にリソースを投入するものだ。コストを大幅に抑えつつ、今日のFBI職員により優れたツールを提供することになる」とパテル氏は述べた。

ワシントン特派員 サム・ドーマンは、エポックタイムズの裁判と政治を担当するワシントン特派員です。X で @EpochofDorman をフォローできます。