「人類が一番恐れていた場面だ」
中国で、人型ロボットの訓練中に起きた一幕が、こんなコメントとともに拡散された。
映像は、中国のロボット企業・ユニツリー・ロボティクス(中国名・宇樹科技)の実験中のものとされる。
担当者がロボットの前で、蹴る動作を見せた。
すると次の瞬間、ロボットも同じように脚を出した。
しかし、その脚はみごとに担当者の腰付近を直撃。
担当者は痛みで思わず体をかがめ、その場にしゃがみ込んだ。
するとロボットのほうも、見本をなぞるように、同じ姿勢でしゃがんだ。
この動画が拡散されると、
「人類が一番恐れていた場面だ」との声が出る一方、
「模倣中の事故に過ぎない」と冷静に見る向きもある。
この動画を共有したテスラのエンジニアのウェス・モリル(Wes Morrill)氏は「遠隔操作の担当者は、アシモフのロボット三原則を最初からプログラムに組み込まなかったことを、今ごろ後悔しているだろう」と皮肉った。
ロボット三原則は、SF作家・アイザック・アシモフ(Isaac Asimov)が提唱した考え方で、ロボットは人間に危害を加えてはならず、人間の命令に従い、自己を守る行動も、人間の安全や命令に反しない範囲に限られる、という内容である。
モリル氏の投稿には、米実業家のイーロン・マスク氏が笑いの絵文字で反応し、話題が拡大した。
中国製人型ロボットをめぐっては、今年5月にテスト中のロボットが突然腕を振り回す映像が拡散するなど、不安定な挙動がたびたび指摘されている。北京で行われた人型ロボットのイベントでも、転倒や制御不能が相次ぎ、技術の成熟度に疑問が投げかけられた。
安全面でも指摘がある。米国の技術専門誌 IEEE Spectrum は、ユニツリー・ロボティクス のロボットについて、音声や映像などのデータが中国国内のサーバーに送信される可能性や、無線通信を通じて外部から操作される恐れがあると報じた。第三者に乗っ取られるリスクがあるとして、注意を促している。
今回の映像は、故意や暴走を示すものではないが、人と直接向き合って行うロボット訓練の安全性について、改めて考えさせる出来事となっている。
「人類が一番恐れていた場面だ」という言葉は、未来への不安を象徴する比喩として受け止められている。
(2025年2月、中国国営テレビの旧正月の特別番組「春晩」に登場したロボットが、河北省唐山市での公演中に観客を襲撃したとされる映像がネット上で拡散し、懸念が広がった)
(人型ロボットが走行中にバランスを崩す場面)
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