欧州連合(EU)の外交・安全保障政策上級代表を務めるカヤ・カラス氏は20日、欧州議会で、EUがイランに対する新たな制裁を準備していると発表した。無人機やミサイルに転用可能な部品の輸出を制限することが柱となる。
今回の制裁には二つの目的がある。第一に、イランがロシアに対しウクライナ攻撃に用いられる技術支援を提供する流れを断つこと。第二に、テヘラン政権が国内の抗議運動を暴力的に弾圧していることへの対応だ。
カラス上級代表は、提案の狙いはイランがロシア軍への支援を続ける能力を弱めることだと説明した。また、イラン国民が自らの将来のために闘っている一方で、当局は民意を無視しており、その姿勢が政権の本質を露呈していると指摘した。さらに、弾圧に関与した関係者への制裁対象拡大など、追加の懲罰措置をEUが検討していることも明らかにした。
EUが新制裁を発表する直前の16日、世界有数の安全保障フォーラムであるミュンヘン安全保障会議は、イランのアッバス・アラグチ外相と副官に出していた招待を正式に撤回した。主催者は、イラン政府が抗議活動を血なまぐさく弾圧しており、出席資格を欠くと説明した。イランが同会議から排除されるのは3年連続となる。
イラン当局が最近公表した抗議関連の死亡者数は約5千人で、このうち約500人が治安部隊だとしているが、国際社会では大幅な過小評価だとの見方が広がっている。
英サンデー・タイムズ紙は、イランの医療システムから流出した内部報告を引用し、昨年12月末に全国的な抗議が始まって以降の死亡者数が約1万6500人に上り、負傷者は33万人に達したと報じた。とりわけ1月8日から9日にかけては、当局がインターネットを遮断したうえで武力弾圧を行い、軍用兵器による至近距離射撃で頭部や首を撃たれ、数千人が失明したという。
現在、イラン全土でのインターネット遮断は累計で280時間を超えて続いている。カラス上級代表は、弾圧と通信遮断を同時に行う行為は、政権が最も恐れているのが自国民であることを示していると強く批判した。
EUは今後、より強硬な措置を検討しており、イスラム革命防衛隊をテロ組織に指定するかどうかや、EU加盟国に駐在するイラン大使の一斉追放といった選択肢も俎上に載せている。対立は一段と激しさを増している。
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