中国 笑えない「そっくりさん」の代償

習近平そっくりで人生激変 中国歌手劉克清の悲劇 SNS封鎖の現実

2026/02/15
更新: 2026/02/15

世界には「自分とそっくりな顔の人が3人いる」という説がある。
科学的な根拠はさておき、飲み会などで一度は耳にしたことがある話である。

もしその3人のうち1人が、中国共産党の最高指導者だった場合、どうなるだろうか。しかも、現代の中国で。

中国の歌手、劉克清(りゅう・こくせい)は、その不運を引き当てた人物である。
彼は顔が中国共産党党首習近平に似ているという理由だけで、表現の場を奪われ続けてきた。仕事と収入が減り、ネットでも活動の道を閉ざされた。

歌が下手だったわけでも、過激な発言をしたわけでもない。問題とされたのは、ただ「似ている」という一点であった。

抖音で37万いいねも2日でアカウント停止

2019年、劉克清が中国版TikTok「抖音(ドウイン)」に登録すると、わずか2日で37万件以上の「いいね」が集まった。話題になったのは歌ではない。「国家指導者にそっくりな顔」が注目を浴びたのである。本人も当時、「評価されたのは歌ではなく、国家指導者に似ていることだ」と冗談めかして投稿していた。

しかし、コメント欄に習近平の名が並び始めると、空気は一変した。動画や投稿は政治的に敏感な内容と判断され、アカウントは突如として利用できなくなった。

翌2020年には、プロフィール写真が問題視され、再び利用停止となった。その後も同じ理由で警告や停止が繰り返された。

5年間の苦難:仕事減・収入激減の理由

劉克清は2025年、現実の厳しさを明かしている。ここ5年間、「この顔」のせいでアカウント停止が続き、仕事の機会は減少し、収入も大きく落ち込んだ。生計を支えるために歌のレッスン配信を試みたが、配信自体が制限され、続けることが難しかったという。彼には4人の子どもがいる。

最近になり、ようやく審査を通過し、再びプロフィール写真を設定できるようになった。しかし、写真を見た人々の反応は決まっていた。「これはまた消される」と。

実は、こうした例は劉克清に限らない

ある美食ブロガーもまた、習近平に顔が似ているという理由だけで誹謗中傷の的となった。コメント欄は罵声で埋め尽くされ、中には、習近平政権への怒りを本人にぶつける者もいたという。ブロガー自身は政治には一切触れず、路地裏の食堂や庶民的な店を紹介するだけであった。それにもかかわらず、昨年7月、その動画はすべて削除された。

世界には「そっくりな顔が3人いる」と言われる。しかし中国では、その1人が中国共産党の党首だった場合、人生の選択肢は一気に狭まる。

「よかった――あの人に似ていなくて」
中国では、それが今や、立派な「幸運」と呼べる時代である。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!