中国の若者の考え方が、大きく変わっている。
以前は「出世したい」「大企業で働きたい」「どんどん成長したい」という声が目立った。だが今は違う。
「普通に働ければいい」
それが本音になりつつある。
中国では景気の悪化とともに雇用環境が厳しくなっている。1か月の間にほとんど休みがない人もいる。朝9時から夜9時まで週6日働く、いわゆる「996」と呼ばれる長時間労働も続いている。公務員でさえ夜遅くまで残業する例もある。
それでも安心はない。産休明けすぐに出張が続く社員。時間をすべて仕事に費やしても、年末のボーナスは期待より少ない。努力が報われるとは限らない現実がある。
こうした中で、「良い仕事」の意味が変わった。
若者が重視しているのは、
・給料がきちんと支払われること
・簡単に解雇されないこと
・休みがきちんと取れること
・職場で人として尊重されること
どれも特別なことではない。
だが、今の中国ではそれが簡単ではない。
2025年12月末、中国の大手求人サイト 智聯招聘が発表した就職調査によると、大学生が考える「良い仕事」の条件の上位は「給与と福利厚生」「成長の機会」「雇用の安定」だった。智聯招聘は中国国内で広く利用されている大手人材サービス企業で、毎年雇用に関する調査を行っている。つまり、若者の本音を示す継続的なデータといえる。
報告は、若者の職場への期待が「安全」と「生きていくための安心」にまで縮小していると指摘している。
しかし専門家によれば、こうした「普通の条件」を満たす仕事は、今の中国では非常に少ない。
そのためSNSでは「仕事は無意味だ」「頑張っても変わらない」という声も広がっている。「無理に上を目指さない」という考え方も目立つようになった。
かつては「どこまで成功できるか」を考えていた世代。
いまは「どこまで無事に続けられるか」を考えている。
若者が求めているのは贅沢ではない。
ただ、安心して働ける環境なのである。
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