中国で年に一度開かれる最大の政治イベント「両会」(全国人民代表大会と政治協商会議)が3月4日に首都・北京で開幕した。
国家の方針や経済目標を決定する重要会議であるが、その一方で首都では異例ともいえる厳戒態勢と言論統制が敷かれている。天安門周辺では幾重もの検問が設けられ、観光客であっても身分証の提示や手荷物検査を受けなければ通行できない状況だ。

検査の内容も極めて厳格だ。リュックサックのポケットを一つひとつ確認し、メモ帳の内容や薬の箱の表示に至るまでチェックを行う。さらにスマートフォンのケースを外して内部を確認する検査も実施しており、わずか1キロ余りの距離を移動するのに40分以上を要することもある。
同時に、インターネット上の言論統制も一段と強化している。中国のメッセージアプリ「微信(ウィーチャット)」では、政府人事や政治問題に言及しただけで記事が削除され、アカウントが凍結される事例が相次いだ。
地方政府の人事を紹介した記事や、社会問題を扱った投稿までもが表示制限を受けたと、複数の運営者が明らかにしている。

さらに北京では、地方で解決されなかった問題を中央政府に直接訴えようと集まる陳情者の排除も進めている。郊外の住宅地に集まっていた陳情者の拠点を摘発し、約500人を拘束したうえで地元へ強制送還したとの情報もある。

共産党の重要会議の開催の陰で、首都は厳重な警備と高度な情報統制に包まれている。街には緊張感が漂い、重苦しい空気が広がる。こうした光景は毎年のように繰り返されてきた。
全国人民代表大会という「人民を代表する」とされる会議の期間中、皮肉にも人民の声は厳しく排除されているのが現状だ。そこには、共産主義中国の根深い矛盾が浮かび上がっている。


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