未来の「強い経済」をつくるために 「第3回日本成長戦略会議」の全貌

2026/03/11
更新: 2026/03/11

長年続く経済の停滞を打ち破り、日本に「強い経済」を取り戻すための具体的な作戦づくりが本格化している。2026年3月10日、高市首相のもとで開催された「第3回日本成長戦略会議」では、国と民間企業が協力して未来へ投資するための「17の戦略分野」と、その道筋が議論された。政府は一体何を目的とし、どんな計画を描いているのか。そして、専門家から突きつけられた「乗り越えるべき課題」とは何か。私たちの未来の暮らしに直結するこの会議の全貌をひもといていく。

会議のまとめを行う高市首相(出典:首相官邸ウェブサイト)

1. 政府の目的は「強い経済」をつくり、国民を豊かにすること

政府がこの会議を通じて最も実現したいこと、それは日本の「強い経済」をつくり上げることである。日本の経済成長が他の国より低い一番の原因は、国内で未来のためにお金を使う「投資」が停滞しているからだと分析されている。そこで政府は、国と民間企業が協力して積極的にお金を投資することで、企業と政府の「支出する力」を強くし、結果として家計(国民)にしっかりとお給料が回るようにしようとしている。

2. 何をどのようにやるのか?:17の分野と日本の「勝ち筋」

「強い経済」をつくるために、政府はこれからの世界で絶対に必要となる17の戦略分野に狙いを定めた。分野は「AI・半導体」「情報通信」「航空・宇宙」「フュージョンエネルギー」といった最先端技術から、「防災・国土強靱化」「資源・エネルギー」「造船」「創薬・先端医療」「フードテック(食の技術)」、そしてアニメやゲームなどの「コンテンツ」まで多岐にわたる。

これをどう進めるかというと、「官民投資ロードマップ」という具体的な計画表を作成する。日本の技術や製品が世界で勝つための作戦(勝ち筋)を見つけ出し、「いつ」「どのような内容で」「どれくらいの規模の投資を引き出せるのか」を明確にして、国と民間が一体となって実行していく仕組みだ。

会議のまとめを行う高市首相(出典:首相官邸ウェブサイト)

3. 3月10日の会議では何が議論され、何が決まったのか? 

この日の会議では、17の分野において具体的に投資を進めていくべき「主要な製品・技術」のリストが提示され、議論が行われた。

しかし、ロードマップ(計画表)は全ての分野で示されたわけではない。今回の会議で示されたのは、17分野の中でも特に準備が進んでいる「先行する製品・技術」の計画表の素案(下書き)のみであった。

今の時点で計画は「どの技術で勝負するか」の的を絞り、一部の計画案ができあがった段階にある。これを踏まえ、高市首相は各担当大臣へ次のように明確な指示を出し、次の行動を決めた。

  • 計画を急いで完成させる: まだ計画が示されていない製品・技術についても、スピード感を持ってロードマップを策定する。
  • 経済への良い影響を「数字」で計算する: 城内大臣に対し、投資によって日本の経済にどれくらい良い影響があるのかを、具体的な数字でしっかり計算するように指示した。
  • 未来のためのお金を「別枠」で賢く確保する: 片山財務大臣に対し、国の借金を減らす努力をしながらも、災害から国を守る「危機管理投資」や未来を豊かにする「成長投資」に使うお金を、「別枠」としてしっかり確保する仕組みを考えるよう指示した。

4. 専門家から指摘された「重要な問題点」とは? 

会議が前進する一方で、集まった専門家の委員たちからは、乗り越えるべき重要な課題も指摘されている。

  • 「日本全体でどんな国を目指すのか」が見えにくい: 個別の分野の計画は出てきたが、ただ並べただけで「情報通信立国を目指すのか」「資源循環の国を目指すのか」といった、日本全体としての大きな目標(戦略の全体像)がはっきりしていないという厳しい指摘があった。
  • 優先順位と、すべての土台となるエネルギー: すべての分野に同じように力を入れるのではなく、「優先順位」をつけてメリハリのある政策を行うべきだという意見や、すべての産業の成長の土台となる「エネルギー(電力など)」を安定させることが大前提だという指摘が出た。
  • 「働く人」の不足と多様性の必要性: 計画を実行するための人材不足や、労働者が安心して働ける環境の整備が必要だと指摘された。また、女性などの多様な人材をもっと増やさなければ、新しいアイデア(イノベーション)は生まれないという意見も出ている。
  • 中小企業の重要性: 日本の雇用の多くを担う中小企業が活躍できる環境を整えなければ、本当の経済成長にはつながらないという声も上がった。

この「日本成長戦略会議」を通じて政府が国民に伝えたいのは、日本の未来を良くするための「具体的な設計図」が今まさに作られ、動き出しているということだ。どこにお金を使い、どうやって世界の市場で勝ち抜き、どんな豊かな日本を手に入れるのか。今回話し合われた内容はさらに練り上げられ、今年の夏に決まる国の大きな方針(骨太方針)へと反映されていく。人々の未来の暮らしがどう変わっていくのか、この計画の行方に注目が集まっている。

エポックタイムズの速報記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。