欧州議会は26日、EU域内に合法的な滞在資格を持たない不法移民や難民申請を却下された人々の強制送還手続きを迅速化するための新たな「送還規則(Returns Regulation)」を可決した。採決は賛成389票、反対206票、棄権32票であった。右派勢力が主導した同法案は、現在わずか20〜30%にとどまるEU全体の送還実行率を抜本的に改善することを目的としている。
新規則の核となるのは、以下の三つの厳格な措置である。
第一に、EU域外の第三国に「送還ハブ」と呼ばれる処理・収容施設を設置する。イタリアがアルバニアに設けた先行モデルを踏襲したもので、強制送還を待つ人々を域外で管理する仕組みだ。
第二に、帰還手続きへの非協力者や逃亡の恐れがある者、公共の安全に対する脅威と見なされる者に対し、最長24か月にわたる拘留を認める。
第三に、自発的帰還に応じず強制退去の対象となった者や治安上のリスクがある者には、より厳格なEU入国禁止措置を科す。状況次第では永久的な入国禁止も適用されうる。加えて、特定の場面での家宅捜索など強制的な捜査手段の導入も盛り込まれており、米国の移民関税執行局(ICE)を想起させるとの懸念も出ている。
海外メディアでは、保守派や右派の政治家らは今回の採択を、長年にわたる不法移民の増加や治安悪化への市民の懸念に応えるものであり「失敗したEUの移民政策に対処するための重要な第一歩」だと歓迎した。国境管理を取り戻すための歴史的な成功であるとの声も上がっている。
アムネスティ・インターナショナルは、域外の「送還ハブ」が組織的な人権侵害の重大なリスクを伴うと指摘し、人権に配慮した形での運用は不可能であるとして法案の全面的な拒否を求めている。
今後はEU理事会(加盟国閣僚)および欧州委員会との三者協議(トリローグ)に移行する。交渉が順調に進めば、新たな送還規則は早ければ2027年半ばから適用される見通しである。欧州の難民・移民政策を根底から転換させる可能性を秘めた同法案の行方に、各方面から注視が続くことになる。
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