イランと共闘するイエメンのテロ組織「フーシ派」の広報官は3月28日、同組織が中東紛争に参戦し、イスラエルに対してミサイル攻撃を実施したと発表した。テルアビブ(イスラエル政府)側は、このミサイルを迎撃したとしている。
同組織のヤヒヤ・サレ・ヤー軍事部門広報官は、フーシ派軍が弾道ミサイルを用いて「占領下のパレスチナ南部にあるイスラエルの機密軍事拠点」を標的とした「初の軍事作戦」を実行したと述べた。また、「抵抗勢力のすべての戦線に対する侵略が停止するまで」作戦を継続すると強調した。
サレ・ヤー広報官は、攻撃が「目的を首尾よく達成した」と主張しているが、イスラエル軍は、イエメンから発射された1発のミサイルを特定し、これを迎撃したと説明している。
イスラエル国防軍(IDF)は声明で「防空システムが脅威を阻止した」と発表した。あわせて、3月28日には50機以上のイスラエル空軍戦闘機がイラン全土で空爆を行い、弾道ミサイル関連施設を含む武器製造拠点を標的にしたことも明らかにした。
イスラエルによるこれらの一連の攻撃は、停戦が成立する前にイランの戦力遂行能力を最大限に削ぐことを目的としており、イランの武器製造施設への攻撃が広範に加速する中で行われた。
フーシ派による攻撃は、紛争拡大の可能性を示唆している。一方で、トランプ米大統領は、自身の政権が停戦確保に向けたイランとの外交努力に従事していると述べている。
イスラエルの「エポック・マガジン」に対し、同国の治安当局筋は、ワシントンとテルアビブの双方がフーシ派参戦の可能性を予見していたと語った。
紅海の脅威がさらなる拡大のリスクを高める
フーシ派は自らの行動を、イランが主導する広範な「抵抗の枢軸」ネットワークの一環と位置づけており、イスラエル以外にも作戦を拡大する用意があることを示唆している。
3月初旬、フーシ派の指導者アブドルマリク・アル・フーシは、情勢次第では介入する準備ができていると表明していた。
直近では、フーシ派は紅海での攻撃再開の可能性をちらつかせている。かつてガザ戦争中に行われた同海域での作戦は、世界の海運を混乱させた。
3月20日、同組織は米国の船舶を標的にし、紅海とアデン湾を結ぶ要衝であり、世界の石油や貿易の流れに不可欠なバブル・マンデブ海峡を封鎖する可能性を警告した。
3月27日にXに投稿された声明の中で、フーシ派の広報官は、米国やイスラエルがイランに対して敵対的な作戦を行うために紅海を使用することを「許さない」と警告。「直接的な軍事介入に向けて、指はすでに引き金にかかっている」と述べた。
紅海での船舶攻撃やバブル・マンデブ海峡の封鎖の試みは、事態の重大なエスカレーションを意味する。それは世界のエネルギー市場や地域の安全保障に波及し、サウジアラビアとの緊張再燃を招く恐れがある。
対イラン戦争はエネルギー市場に大きな混乱をもたらしている。ホルムズ海峡におけるイランの行動により、石油やその他の主要商品の輸送は滞り、原油価格の高騰を招いた。また、肥料や食料を含む世界的な不足への懸念も高まっている。
世界の石油・ガス輸送の約20%が通過するホルムズ海峡の開放は、イランに対して軍事・外交両面で圧力を強めるトランプ氏にとって主要な焦点となっている。
トランプ氏は3月27日、フロリダ州マイアミビーチで開催された「フューチャー・インベストメント・イニシアチブ・プライオリティ・マイアミ・サミット」にて、「我々は現在交渉中であり、何かを成し遂げられれば素晴らしい。だが、彼ら(イラン)は海峡を開放しなければならない」と述べた。
さらに、トランプ氏は空爆作戦の一環として攻撃可能なイラン国内の標的数に触れ、「我々にはあと3554の標的が残っており、それはかなり迅速に処理されるだろう。その後、ある時点で、我々はどうすべきかを決定することになる」と語った。
広域的な地域連携の一環
イランは長年にわたり、ガザ地区、シリア、レバノン、イラク、そしてイエメンで活動する同盟勢力のネットワークを通じて、中東全域に影響力を及ぼしてきた。これらのグループの中には、すでに活動を活発化させているものもある。
米国がテロ組織に指定しているヒズボラは、イスラエルへの攻撃を再開した。また、イラクの親イラン民兵組織は、米軍基地へのドローン攻撃を主張している。
これまでフーシ派の対応は、主に声明やデモに留まっていた。そのため、3月28日のミサイル発射は、直接的な軍事関与への顕著な転換を意味する。
イランの支援を受けるフーシ派は、2014年にサヌアを含むイエメン北部の大部分を制圧した。これにより国際的に承認された政府は亡命を余儀なくされ、翌年にはサウジアラビア主導の軍事介入を招いた。以来、イエメンは長期にわたる泥沼の、事実上の膠着状態にある内戦に陥っている。
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