イスラエルとアメリカが、レバノンの親イラン武装組織ヒズボラを巡り、短期停戦の可能性を協議していることが、イスラエル当局者の話で分かった。一方、4月15日も戦闘は続いており、イスラエル指導部は作戦の次の段階について検討を進めている。
同国の高官らはイスラエル大紀元に対し、現在の選択肢の一つとして、約1週間の停戦案が浮上していると明らかにした。これは、イラン、イスラエル、アメリカを巡る現在の戦闘停止の流れに歩調を合わせる形となる可能性があるという。ただ、現時点では何も決まっていないと強調した。
当局者らによると、ネタニヤフ首相は4月15日、レバノンでの軍事作戦を協議するため、安全保障閣議を開く見通しだ。
こうした動きは、ルビオ国務長官が前日、ワシントンでイスラエルとレバノンの駐米大使を招き、異例の直接会談を開いたことを受けたものだ。このような会談が公に明らかになるのは数十年ぶりだ。米国務省は、協議は建設的だったとする一方、直ちに合意には至らなかったと説明した。
国務省は発表で、「双方は、相互に合意した時期と場所で直接交渉を開始することで一致した」と明らかにした。
ルビオ氏は、この会談の目的は戦闘の終結だけでなく、イランの支援を受けるヒズボラの弱体化にもあると述べた。米政府はヒズボラをテロ組織に指定している。
会談に先立ち、ルビオ氏は「これは、この地域におけるヒズボラの20年、30年にわたる影響力に恒久的な終止符を打つことに関わるものだ」と述べ、今回の取り組みは一度限りではなく、継続的な過程だと強調した。
一方で、イスラエル政府は公の場では強硬姿勢を崩していない。デービッド・メンサー報道官は、ヒズボラと直接停戦協議をしているわけではないと述べた。
メンサー氏は4月15日の記者会見で、「ヒズボラとの停戦協議は行っていない。イスラエルの民間人に無差別攻撃を続けるテロ組織は、交渉相手にはなり得ない」と述べ、「むしろ和平実現に向けた最大の障害だ」と語った。
さらにメンサー氏は、一連の協議の目的は、ヒズボラの武装解除と軍事インフラの解体を進め、イスラエルとレバノンの恒久的な平和に向けた環境を整えることにあると説明した。
そのうえで、「次回の協議は、米国務省とルビオ氏の仲介で行われる」と述べた。
ただ、外交努力にもかかわらず、戦闘がすぐに収まる兆しは見えていない。
4月15日には、レバノン南部で煙が上がる様子が確認され、衝突が続く中で爆発音や銃撃音も伝えられた。メンサー氏によると、ヒズボラは同日朝、イスラエル北部に向けて40発のロケット弾を発射したという。
イスラエルは3月2日にレバノンを攻撃し始めた。ヒズボラが、米イスラエル両国によるイラン関連施設への攻撃を受け、イラン支援の立場から攻撃に踏み切ったことがきっかけだった。
レバノン当局は、これまでに2千人以上が死亡し、約120万人が避難を余儀なくされたとしている。ただ、大紀元はこの数字を独自に確認できていない。
レバノンでの衝突は、中東全体の戦火と深く絡み合うようになっている。トランプ米大統領は、イランを巡る戦闘は近く終結する可能性があるとの見方を示し、イランとの不安定な停戦を損なわないよう、イスラエルに対してレバノンでの攻撃を抑えるよう促している。
これに対し、イランは、より広範な合意にはイスラエルによるヒズボラ攻撃の停止が含まれなければならないと主張しているが、アメリカは、イラン問題とヒズボラ問題を結びつける考えを退けている。
イスラエル当局者は大紀元に、アメリカの要請を受け、イスラエルはここ数日、作戦範囲を絞っており、主な作戦地域をレバノン南部に限り、ベイルートでの作戦は停止していると語った。
レバノン国内では、外交努力の障害も改めて明らかになった。ヒズボラは4月15日、レバノンがイスラエルとの協議に参加したことを「民族への罪」だと非難し、今後の対応を巡って、レバノン国内の対立がなお深いことをうかがわせた。
アメリカ務省は、この交渉について、2024年11月のイスラエル・レバノン停戦を土台とし、それをより広範な合意へ発展させる機会だとしている。その中には、苦境にあるレバノン経済の復興支援や、両国への投資拡大も含まれる可能性があるという。
レバノンのナダ・ハマデ・モアワド駐米大使は、協議は建設的だったとしたうえで、停戦、避難民の帰還、人道支援の拡大を求めた。
一方、イスラエルのイェヒエル・ライター駐米大使は、ヒズボラに対する認識を共有できたことに手応えを示し、ヒズボラはすでに弱体化しているとの見方を示した。
ライター氏は、「これは、ヒズボラに対する強固で継続的な戦いの始まりだ」と述べた。
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