関係者によると、イーロン・マスク氏が率いるSpaceXの新規株式公開(IPO)について、機関投資家からの申込総額は、目標とする調達額750億ドル(約12兆円)のおよそ4倍に達している。実現すれば、過去最大規模のIPOとなる見通しである。
SpaceXはロケットや衛星、人工知能関連事業を手がけており、6月12日にナスダックへの上場を予定している。IPOの規模は、2019年にサウジアラムコが記録した294億ドル(約4兆7,000億円)を上回る可能性がある。
ブルームバーグによると、主幹事銀行は6月10日のニューヨーク市場の取引終了後に、機関投資家からの申込受付を締め切る予定である。需要の状況を踏まえ、公開価格は6月11日に決定され、株式は翌12日に取引が開始される見通しである。
計画では、1株あたり135ドル(約2万1,600円)で5億5,560万株を発行し、約750億ドル(約12兆円)を調達する。これにより、企業価値はおよそ1兆8,000億ドル(約288兆円)に達する見込みである。
申込額2,500億ドルの背景と需要構造
関係者によると、現時点での投資需要は2,500億ドル(約40兆円)を超えており、当初の調達目標を大きく上回っている。評価額がさらに引き上げられる可能性もあるとしている。
関係者はいずれも、情報の機密性を理由に匿名で取材に応じた。今回のIPOの応募倍率はおよそ3.5倍から4倍とされ、市場の需要の強さを示しているとの見方が出ている。
別の関係者によると、長期保有を前提とするファンドが大口の注文を出しているほか、マスク氏もオンライン会議を通じて投資家向け説明に参加したという。
また、同社は現在、投資家向け説明を行うロードショーの段階にある。9日にはモルガン・スタンレーがニューヨークで説明会を開き、およそ300人の機関投資家が参加した。SpaceXのショットウェル社長やジョンセンCFOらが出席した。
今回のIPOは、ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーなど複数の金融機関が主導し、合わせて18の銀行が関与している。株式はナスダックに上場され、ティッカーシンボルは「SPCX」となる予定である。
公開価格の決定までは需要が変動する可能性があり、現在の申込額はあくまで投資意向を示すものである。最終的な配分は価格決定後に確定する。
また、一部の機関投資家は締め切り直前に注文を出す傾向があるとされる。個人投資家についても、特定の取引プラットフォームを通じて申し込みが可能で、最大で全体の30%が割り当てられる見込みである。
SpaceXは、この件についてコメントを出していない。
市場環境と投資資金の動き
今回のIPOは、市場が不安定な中で進められている。ここ数日、アメリカやヨーロッパ、アジア太平洋地域のテクノロジー株や暗号資産は下落傾向となっている。
一部のアナリストは、投資家がIPOに充てる資金を確保するため、株式や暗号資産を売却している可能性があると指摘している。
SpaceXの資料では、同社のロケット打ち上げ事業の優位性が強調されている。過去3年間で世界の多くの衛星を打ち上げたとしており、スターリンク事業の成長性も示している。さらに、AI関連事業については将来的に23兆ドル(約3,680兆円)規模の市場機会があると見込んでいる。
また、宇宙空間を活用した計算基盤の構築により、地上インフラの制約を受けにくい点を強みとして挙げている。今後、計算需要の拡大に伴い、こうした分野の重要性が高まる可能性があるとしている。
マスク氏は、余剰の計算能力を外部に提供する考えも示している。
さらに、グーグルは先月、SpaceXと宇宙でのデータセンター構築について協議していることを明らかにしており、今後同様の動きが広がる可能性がある。
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