北京で開催予定だった人気司会者・謝娜(シエ・ナー)のコンサートが、開催直前になって突然中止になった。
チケット約1万5千枚は発売からわずか1分で完売。それだけ人気を集めていたにもかかわらず、公演は取り消された。「なぜ完売したコンサートが中止になるのか」と、多くの人が驚いている。
きっかけになったとみられるのは、中国共産党(中共)の機関紙による批判記事だ。
日本では新聞が芸能人を批判しても、それだけでイベントが中止になることはほとんどない。しかし中国では事情が違う。党機関紙は単なるメディアではなく、中共の方針や意向を社会に伝える役割を担っている。そのため、記事は「当局からのメッセージ」と受け止めることが多く、企業や主催者は行政処分や今後の活動への影響を避けるため、自主的に計画を変更するケースも少なくない。
今回も党機関紙は、「司会を本業とする人気タレントが、代表的な音楽作品もないまま全国ツアーを開こうとしている」と批判した。名指しではなかったものの、時期や内容から謝娜を指していると受け止めた。
実際、謝娜は歌手ではなく、中国の国民的人気バラエティー番組の司会者として知られる存在だ。一方、中国では近年、俳優や司会者、タレントがファンとの交流を目的にコンサートを開くこと自体は珍しくない。そのため、「なぜ謝娜だけが問題視されたのか」と疑問視する声も広がっている。
6月28日、謝娜本人もSNSで、「一つの記事で、これまで積み重ねてきた努力がすべて水の泡になった」と心境を吐露。公演中止についても、詳しい理由は示されないまま承認されなかったと説明し、「批判されたからといって、すべてを否定するような社会でいいのか」と訴えた。
近年、中国では浜崎あゆみさんの上海公演をはじめ、大型イベントが突然中止されるケースが相次いでいる。観客がチケットを買い、公演を待ち続けていても、それだけでは開催は約束されない。今回の騒動は、そんな中国社会の一面を映し出した。
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