日本企業の「中国離れ」加速 東南アジアが台頭

2026/07/06
更新: 2026/07/06

中国の人件費や事業リスクが高まるなか、ユニクロのサプライヤーをはじめ、日本企業の間で生産拠点を分散する動きが広がっている。サプライチェーンは東南アジアへ移りつつあり、日本の衣料品輸入に占める中国の比率は31年ぶりの低水準となった。

「日経アジア」によると、2025年、中国が日本の繊維製品輸入に占める割合は50%を下回った。ユニクロなどのブランド向けに製品を手がける企業は、比較的安い人件費と地政学的リスクの低さを求め、生産を東南アジアへ移している。

日本繊維輸入組合のデータによれば、2025年に中国製品が日本の衣料品・繊維製品輸入総額に占める割合は49.8%となり、2015年の65.3%から大きく低下した。

日本のアパレルメーカーは1980年代から、低コストでの生産を目的に中国での生産を拡大してきた。中国からの輸入は2009年にピークを迎え、日本の輸入総額の約8割を占めた。その後は徐々に減少し、2025年には50%を割り込んだ。50%を下回るのは1994年以来初めてである。

一方で、東南アジアや南アジア諸国の存在感は高まっている。日本の衣料品輸入に占める割合は、過去10年でベトナムが7.7ポイント上昇して17.4%に、バングラデシュが2ポイント上昇して4.3%となった。

ユニクロ向けの衣料品を生産するマツオカは、インドネシアに2カ所目となる縫製工場を建設しており、2028年3月までの稼働を予定している。同工場により、同社のインドネシアでの生産能力は現在より約150%拡大する見通しだ。

マツオカは今後、東南アジアとバングラデシュでの生産比率を高める方針で、2029年3月期には、この2地域の生産量が同社の衣料品事業全体の売上高の74%を占める見込みだ。これに伴い、中国での生産比率は低下する。

同社の金子浩幸取締役は「日経アジア」に対し、「理由は人件費の上昇だけではない」と述べた。そのうえで、「中国では出生率の低下と高齢化により、1千人規模の新規従業員を採用することがますます難しくなっている」と説明した。

生産を東南アジアへ移しているのは、ユニクロのサプライヤーだけではない。アパレル大手のワールドは、生産をベトナムやカンボジアへ移しており、2026年までに東南アジアでの生産比率を、15年前のわずか5%から20%近くまで引き上げる計画だ。

「クロコダイル」などのブランドを展開するヤマトインターナショナルも、東南アジアでの生産比率を2009年の5%から、2026年には50%超へ引き上げるとしている。

こうした生産拠点の分散を促す主な要因の一つは人件費だが、多くの企業には、中国への過度な依存に伴う地政学的リスクを避ける狙いもある。

近年、日中関係は悪化傾向にある。2025年11月、高市早苗首相による台湾有事をめぐる発言の後、両国関係は急速に悪化した。事業リスクの高まりや市場シェアの低下を受け、日本企業は中国での製造や販売への依存を減らす動きを加速させている。

帝国データバンクが2025年11月下旬に発表した調査によると、海外事業を展開する企業のうち、中国を最も重要な市場とみなす企業は16.2%にとどまり、2019年の23.8%から低下した。また、中国を最重要の事業拠点と位置づける企業の割合も、25.9%から12.3%へ低下した。

日本繊維輸入組合によれば、中国から繊維製品を輸入する商社の間では、検査や通関手続きが厳しくなっているとの報告もある。理由は明らかになっていない。

「日経アジア」によると、下着・靴下メーカーのアツギは、中国から生産ラインを移すことを事業継続計画に組み込んでいる。

同社は、中国国外での生産比率を現在の5%未満から20〜30%へ引き上げる計画だ。これまでは、タイやカンボジアなどにある取引先工場へ生産を委託してきたが、日光信二社長は「中国国外に自社工場を設けることも検討している」と述べた。

経産省が2025年1月に発表したアジア投資動向に関する報告書では、日本のアジア地域への対外直接投資のうち、中国向けの投資残高はコロナ禍後に減少していると指摘された。報告書は、環境規制やエネルギーコスト、人件費の変動を背景に、企業が工場配置の見直しを続けていると分析している。

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