【名家コラム】中共が日本株式市場に浸透 産業の先端技術を盗む

2026/07/18
更新: 2026/07/18

金融危機後、中国共産党は日本の上場企業に分散投資し産業中枢へ浸透したと指摘される。主権ファンドや情報機関の関与、技術流出や安全保障への影響を検証する。

2007〜2008年の金融危機後、米国経済が回復し、2010年に消費者保護を目的とした「ドッド=フランク法」(Dodd-Frank Act)を可決した時期、中国共産党(中共)政権はすでに大規模な行動を開始していた。目的は、世界一の経済超大国となる目標達成の加速にあった。

第一段階は、当時世界第2位の経済大国であった日本を追い越すことであり、中国は2010年のGDP成長率で日本を上回り、これを達成した。では第二段階は何か。日本の一流上場企業、特に工業および金融の巨大企業の投資ポートフォリオに入り込むことである。

対象となった企業はいずれも日本産業界を代表する存在であった。2010年時点、日本には約2,292社の上場企業が存在し、中共勢力はそのうち約170社に対しおよそ7.5%の株式を取得した。これは鋭い槍の先のように日本の産業界および企業界の防衛線を突き破るものであり、中共のトロイの木馬(Trojan Horse)である。

日本企業はいずれもグローバル企業であり、米国にも強固な基盤を持つ。エネルギー、グローバルITサービス、サイバーセキュリティ、通信、製薬、多角的金融サービスなどが含まれる。

日本企業への株式浸透の実態

中共勢力は警戒を招かないよう細心の注意を払った。5%超の取得は規制当局の厳しい監視を招くため、低姿勢を保つ必要があった。

中共は「SSBT OD05オムニバス・トリーティ・クライアント」(SSBT OD05 Omnibus–Treaty Client)と呼ばれる金融ツールを使用した。このファンドはシドニーに登録され、オーストラリアのステート・ストリート銀行信託会社の傘下にある。「オムニバス・ファンド」とは複数の基礎資産から資金を集約したものを指し、これらをまとめることで最終投資家や受益所有者の身元を隠せる。「条約」とはオーストラリア経由で大規模投資を誘導する戦略を指し、中共が日豪租税条約を利用できるようにするものである。この条約により、非居住投資家は日本投資への源泉徴収税を軽減できる。

これらは中共による巨額投資である。2012年の対日投資額は約450億ドル、現在のドル価値で約650億ドルに相当する。

中国投資有限責任公司(CIC)および国家外匯管理局(SAFE)が、SSBT(State Street Bank and Trust Company)のファンドの投資家であるとみられる。いずれも強力な主権系ファンドである。CICとSAFEはいずれも中共の軍および情報機関と直接的な関係を持ち、中共の指揮下で運営され、戦略的利益と財政目標に奉仕している。米国情報界の多くは、これらのファンドが中共軍、国家安全部(情報機関)、その他の政府機関と関連していると見ている。

これが事実なら、企業統治上、取締役会の重大な懸念事項となるはずである。外国の軍事および情報機関が日本の上場企業に財務的持分を有することは、日本の国家安全保障法に違反する。しかし中共系機関はこの問題に先手を打って対処していた。

現在、CICとSAFEの合計資産は約5兆ドル(約750兆円)に達し、ロシアとブラジルの名目GDPの合計に匹敵する規模である。強力な経済パートナーであると同時に、強力な競争相手でもある。

中共の対日投資戦略とは何か

2003年時点で、当時の日本の経済産業大臣・中川昭一氏は、日本における中共勢力の意図に懸念を表明していた。対中強硬派として知られる中川氏は、経済的利益よりも国家安全保障と主権を優先すべきだと強調した。

中共の戦略は極めて狡猾であり、実行も周到である。目的は、日本の先端技術と産業機密を獲得し、最終的に世界最大のGDP、すなわち世界最強の経済体へと至る道を築くことにある。これは中米間の競争であり、日本は気づかぬうちに中共の協力者となってしまった。21世紀初頭以降、日本はヘッドライトに照らされた鹿のように、反応する間もなく深刻な打撃を受けた。

中共のいわゆる「長期戦略」は「戦略的忍耐」とも呼ばれる。これは地政学および経済理論であり、優位性の蓄積、すなわち市場地位を強化する資産の獲得を核心とする。中共が日本で採用したのはまさにこの戦略であり、日本産業の中核へ入り込む経路を慎重に構築した。過去の対立の歴史を脇に置き、日本内部に深く入り込み、長期的利益を獲得するのである。

中共戦略の重要な要素の一つは、日本の強力な産業体系への浸透である。世界一流の経済強国になるには、最先端技術を掌握し、産業発展において優位を保つ必要がある。中共政権はその方法を十分に理解している。目標は、日本の優位性を最大限に利用し、その技術と産業機密を取得して世界経済の超大国になることである。

中共は、第二次世界大戦後の日本の工業化過程を目の当たりにし、日本がいかに迅速かつ断固として敗戦から回復し、数十年で超大国へ台頭したかを観察してきた。注目したのは日本の成功だけでなく、敗戦による多くの困難を克服した方法でもあった。日本は最終的に成功を収めた。戦後に工業強国となった要因の一つはイノベーションである。この能力こそ中共政権に欠けているものであり、世界的強国への道を妨げる要因となっている。

技術流出と産業スパイのリスク

実際、イノベーションはかつて(そしておそらく今も)中共のアキレス腱である。2019年の中国共産党中央委員会年次会議で、当時の李克強首相は「我が国のイノベーション能力は強くなく、核心分野の技術の弱さは依然として顕著な問題である」と異例の指摘を行った。この時点で中共はすでに日本市場に深く入り込み、強力な対外直接投資と株式市場への浸透を通じて確固たる地位を築いていた。

いわゆる「重点分野」とは中共の「863計画」を指す。持続可能な経済発展を実現し、米国に対抗するため策定された20の重要技術分野の青写真である。中国は自国の必要性を理解しているが、内部の不足は、知的財産の取得と20世紀型帝国の構築によってのみ補える。中共は日本への深い浸透を必要としていた。

李克強は、中国が自ら創出できない技術を導入する必要があることを認めた。前例のない発言であり、示唆に富む。要するに、中共は別の道を模索し、必要な技術を全面的に発展させなければならないということである。「863計画」は1986年3月に開始され、米国のGDP超えに必要な技術の青写真策定が目的だった。

中共が資源を獲得する方法は多岐にわたるが、いずれも世界の舞台で重要なプレーヤーとなるため不可欠である。イノベーションの不足を補うため、中共は次の活動を展開してきた。
・合併・買収
・ターゲット型株式投資
・国際合弁企業
・対外直接投資
・能動的サイバー諜報活動
・受動的サイバー諜報活動
・人的資本を利用した諜報活動
・社会経済的搾取
・外交交流
・学術研究

これら上場企業への投資は中共に利益をもたらす一方、日本の利益を損なっている。現在、日本のGDPは世界第4位で、米国、中国、ドイツに次ぐ。

中国国家情報法と企業リスク

2010年には約40万8,000人の中国人が日本企業で働いていた。日本政府は2030年までにこの数が約150万人に増加すると予測している。現在、中国人は日本のあらゆる産業に広がり、初級職から専門エンジニア、管理職まで多様な職務に従事している。

影響は非常に大きい。2017年の「中国国家情報法」および2023年改訂の「中国反スパイ法」によれば、海外の中共党員は要請に応じあらゆる情報活動に参加する義務を負う。すなわち雇用主の専有情報を盗み中国に送ることを意味し、スパイ活動に該当する。

中共は、日本の出生率低下により将来的に労働力不足が生じることを早くから認識していた。また、日本の工業企業が「863計画」に合致する新技術を有し、日本の金融力が世界的影響力の拡大に寄与することも理解していた。

中共が商業および産業スパイ活動に熱心で、世界中で企業買収を行っていることは広く知られている。しかし当時、日本が困難な状況にあったこともまた周知の事実である。低出生率は最終的に経済基盤を弱体化させる。中共はこの状況を巧みに利用し、潜在的な労働力不足を埋めたのである。

日本は痛切に認識することとなった。自国の貴重な資源を外国の収奪から守るためにより多くの対策を講じる必要があり、戦後の成長を支えた技術と市場の流出を防ぐため、法制度を継続的に整備していかなければならない。

著者紹介:  
N. MacDonnell Ulschは、米国政府および民間部門に対し、中国の戦略的動向に関する助言を行う論評家・講師・作家である。  

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。