高市早苗内閣は7月21日、経済財政諮問会議と日本成長戦略会議の合同会議を経て、「日本成長戦略」「骨太方針」「地域未来戦略」の3文書を閣議決定した。国内投資の不足を日本経済の低迷を招いた主要因と位置づけ、政府支出を呼び水として民間投資を引き出すことで「強い経済」と財政の持続可能性を一体的に実現する方針だ。
今年の骨太方針には「『責任ある積極財政』元年~日本の挑戦を起動する!~」との副題を掲げた。過去の「行き過ぎた緊縮志向」と未来への投資不足から脱却し、供給力の強化を通じて経済全体の規模を拡大することが戦略の柱となる。
政府は、日本の潜在成長率が低迷してきた主因について、技術力や労働効率性ではなく、圧倒的な国内投資の不足にあると分析した。国内投資を徹底的にてこ入れすれば、供給力の強化が雇用と所得の増加につながり、消費意欲も改善する。さらに国内総生産(GDP)が拡大することで、税率を引き上げなくても税収が自然に増える好循環を目指す。
この考え方を具体化したのが日本成長戦略である。政府は危機管理投資と成長投資の中から17の戦略分野を選び、官民投資ロードマップを策定した。政策は従来の官主導ではなく、産学官で練り上げたものと位置づけている。
対象分野は成長段階に応じて絞り込んだ。半導体の量産拡大やゲームを足元の収益源とし、フィジカルAIや植物工場を次の稼ぎ頭に据える。量子技術やフュージョン(核融合)については、将来の成長を支える芽として育成する。
政府は、これらの分野を通じ、2040年度までに累計370兆円を超える官民投資を引き出すことを見込む。城内内閣府特命担当大臣(経済財政政策)を中心に、複数年度にわたる日本成長戦略実行計画を年末までに取りまとめる予定である。
ただ、投資が一部の地域や企業に集中すれば、経済全体の底上げにはつながらない。このため地域未来戦略では、成長投資を全国に波及させる仕組みを整える。
政府と自治体が連携し、『戦略産業クラスター計画』『地域産業クラスター計画』『地場産業成長プラン』の3類型を推進する。単発の補助や支援にとどめず、サプライチェーンの形成から人材育成の仕組みづくりまで、複数年度にわたって伴走する。
広域で質の高い産業集積を形成することが狙いであり、黄川田仁志内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策 消費者及び食品安全 こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画 地方創生 アイヌ施策 共生・共助)を中心に地域未来戦略予算パッケージの具体化を進める。
政府は、民間企業が将来の投資計画を立てやすくするため、予算編成の仕組みも抜本的に改める。通常の歳出とは別に「『強く豊かな日本』投資枠」を新設し、要求上限であるシーリングを設けず、複数年度の計画に基づく予算要求を可能にする。
骨太方針では、新たな経済財政運営の枠組みを「中長期経済財政計画」と位置づけた。2040年度には国内の民間設備投資を250兆円に引き上げ、GDPを1100兆円に迫る規模へ拡大することを目標とする。実質成長率1%超、名目成長率3%超をできるだけ早期に定着させ、その後も成長率を引き上げる方針だ。
積極的な投資を進める一方、財政規律にも配慮する。財政運営では「債務残高対GDP比の安定的低下」を中核目標とし、経済規模の拡大を通じて財政の持続可能性を確保する。
高市内閣は、2025年度補正予算や2026年度当初予算でも新規国債発行額を抑制し、市場の信認確保に配慮してきた。今後も片山さつき財務大臣の指揮の下、各事業が経済成長にどの程度寄与し、民間投資をどれだけ誘発するかを精査する。市場とのコミュニケーションも強化しながら、効果的な予算措置を講じる考えである。
政府は令和9年度を「責任ある積極財政元年」と位置づける。国内投資の拡大を起点に、産業育成、地域経済の活性化、GDPと税収の増加へつなげる一連の改革を来年度予算に反映し、速やかに実行へ移す方針だ。
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