出入国在留管理庁は、2024年の出入国管理及び難民認定法(入管法)改正に伴い、新設する「永住者の在留資格の取消しに関するガイドライン案」を4日に公表した。税や社会保険料の故意の未納、入管法上の義務違反、特定の刑罰法令違反について、取消しを判断する際の考え方や具体例を示している。
永住許可の審査基準を定める「永住許可に関するガイドライン」の改定案も示されており、政府は両案について9月3日までパブリックコメントを募集している。新たな制度は2027年4月1日に施行される予定だ。
新たに三つの取消事由
従来、永住者の在留資格の取消しは、永住許可申請の際に虚偽の申告をした場合など、限定的な事例に適用されていた。
改正入管法では、永住者が一定の義務を履行しない場合に在留資格を取り消すことができる三つの事由を新設した。対象となるのは、税金や保険料など公租公課を故意に支払わない場合、入管法上の義務に違反した場合、特定の犯罪で拘禁刑に処せられた場合である。
法改正に際しては、外国人の予見可能性を確保し、公平に制度を運用するため、取消しの解釈や具体例をあらかじめガイドラインで示し、周知するよう国会の附帯決議で求められていた。
故意の未納、経緯や生活状況を考慮
一つ目の取消事由は、税や社会保険料を故意に支払わない場合である。
対象となる公租公課には、所得税や住民税などの税金、公的医療保険料、公的年金保険料が含まれる。
未納があるだけで直ちに永住資格を取り消すものではない。支払義務を認識しながら、あえて支払わない場合が対象となる。滞納に至った経緯や金額、回数、本人の生活状況などを総合的に考慮し、「支払意思がないことが明白と認められる場合」に取消しを検討する。
具体例として、催告や滞納処分を受けても納付の意思を示さない場合や、脱税、財産隠匿など悪質な徴収逃れを行った場合が挙げられた。
一方、病気や災害、失業など、本人の責任によらない事情で支払えなかった場合は対象としない。
永住資格を取り消す場合でも、引き続き日本に在留することが適当と判断されれば、職権で「定住者」など別の在留資格へ変更する仕組みを設ける。
在留カードの義務違反も対象
二つ目は、中長期在留者に課されている入管法上の義務や禁止規定に、正当な理由なく違反した場合である。
対象には、在留カードの有効期間を更新する義務、常時携帯・提示義務などが含まれる。在留カードの有効期間が切れたまま放置することや、提示を拒否すること、偽造されたカードを所持・使用すること、カードを他人に提供・譲渡することなどが具体例として示された。
病気や災害などの正当な理由がある場合は、取消事由に該当しない。
拘禁刑でも一律には取り消さず
三つ目は、窃盗、詐欺、恐喝、殺人などの刑法犯や、危険運転致死傷罪など、特定の故意犯によって拘禁刑に処せられた場合である。執行猶予付きの判決も対象に含まれる。
ただし、対象となる罪で拘禁刑を受けたことだけを理由に、一律に永住資格を取り消すものではない。ガイドライン案は、「犯罪傾向が進んでいると認められる場合」に取消しを適用するとしている。
具体例には、過去に対象犯罪による前科があり、さらに同様の犯罪を行って拘禁刑に処せられた場合などが挙げられた。
永住許可の収入・年金要件を厳格化
新たに永住許可を申請する外国人に対する審査基準も改定する。
改定案は、永住者を「生涯を日本で過ごすことが想定される最も安定した法的地位」と位置付け、永住許可の審査を「特に慎重に行う必要がある」と明記した。
独立して生計を営む能力については、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る世帯年収が継続して維持されているかを考慮する。
年金についても新たな基準を設ける。将来の受給見込額が、日本人の平均収入で30年間厚生年金に加入した場合の受給水準に達しているかを確認する。不足する場合は、補填に充てられる金融資産なども考慮する。
日本語能力や子供の就学も審査
日本語能力については、原則として日本語教育の参照枠で「B1相当」以上の熟達度を求める。
「生活・就労ガイドブック」に記載された事項を中心に、日本の社会制度や生活上の規則を一定水準以上理解しているかも確認する。
学齢期にある子供を小学校や中学校へ通学させていない場合は、原則として永住許可の審査で消極的に評価する。
日本人や永住者の配偶者に対する在留期間の特例も厳格化する。現在の「実体を伴う婚姻生活が3年以上継続し、引き続き1年以上日本に在留」という要件を、「婚姻生活が5年以上継続し、引き続き3年以上在留」へ延長する。
パブリックコメントはe-Gov、電子メール、郵送で受け付ける。提出期限は9月3日で、郵送の場合も同日必着となる。
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