北朝鮮は8月6日夕、少なくとも1発の弾道ミサイルを日本海に向けて発射した。防衛省によると、日本の領域や排他的経済水域(EEZ)への飛来は確認されておらず、航空機や船舶の被害報告もない。
発射は、金与正・朝鮮労働党総務部長が前日、海上自衛隊による巡航ミサイル「トマホーク」の実射試験を「軍事大国化」の動きとして非難し、日本に対する軍事的選択肢の追加に言及した談話の翌日に行われた。両者の直接的な関連は確認されていないものの、日本が進める反撃能力の整備をめぐり、北朝鮮が改めて反発を示した可能性がある。
北朝鮮が弾道ミサイルを日本海に発射 発射時刻と落下推定地点
防衛省によると、発射は6日午後5時2分ごろである。北朝鮮から発射された弾道ミサイルは、朝鮮半島東岸付近に落下したと推定されている。日本の領域やEEZへの飛来は確認されておらず、付近を航行していた航空機や船舶の被害に関する情報も、現時点では確認されていないという。
日米韓3か国は、発射されたミサイルの種類や飛行距離、詳細な軌道について、緊密に連携して分析を進めている。
韓国軍合同参謀本部は同日、北朝鮮が朝鮮半島東部の元山付近から、日本海に向けて弾道ミサイルとみられる飛翔体を発射したと発表した。日本方向への弾道ミサイル発射は、4月19日以来、約3か月半ぶりとなる。
小泉進次郎防衛相は6日夕、防衛省で臨時記者会見を開き、一連の北朝鮮による弾道ミサイル発射について、「我が国、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものであり、関連する国連安全保障理事会決議に違反する。国民の安全に関わる重大な問題である」と述べた。
日本政府が北朝鮮に抗議 首相が関係省庁へ3項目を指示
日本政府は、北京の大使館ルートを通じて北朝鮮に厳重に抗議し、強く非難した。
政府によると、首相は発射を受け、関係省庁に対して三つの指示を出した。
第一に、情報の収集・分析に全力を挙げ、国民に迅速かつ的確な情報提供を行うこと。第二に、航空機や船舶の安全確認を徹底すること。第三に、不測の事態に備え、万全の態勢を取ることである。
これを受け、防衛省は米国、韓国などと連携し、情報収集・分析と警戒監視を徹底する方針を示した。防衛省内では関係幹部による会議も開かれ、対応を協議した。
金与正がトマホーク実射試験を批判 日本の反撃能力整備に反発
海上自衛隊のイージス護衛艦「ちょうかい」は7月29日、日本時間では同日、米太平洋夏時間では28日に、米国に派遣中の太平洋上で巡航ミサイル「トマホーク」の実射試験を初めて実施した。米海軍の支援を受け、乗員の練度を含め、実際にミサイルを発射できることを確認したという。
トマホークは、政府が反撃能力の一環として導入を進めている長射程巡航ミサイルである。射程は約1600キロとされ、日本の護衛艦による実射は今回が初めてとなった。
「ちょうかい」は9月ごろに母港である佐世保基地(長崎県)へ帰投し、日本周辺での運用に移る見通しである。
北朝鮮側は、この実射試験に反発した。金与正は8月5日、朝鮮中央通信を通じて発表した談話で、日本が「戦争国家への変貌を加速させている」と主張し、日本の「軍事大国化」を批判した。その上で、日本の動きに対抗するため、「明確な軍事的選択肢を追加設定する」と表明した。
談話では、日本の安全保障政策の変化の背後には米国があるとの認識も示され、日米の安全保障協力をけん制した。
談話翌日のミサイル発射、意図と直接の関連は不明
今回の発射は、金与正の談話の翌日に行われた。そのため、トマホークの実射試験や日本の反撃能力整備を意識した政治的・軍事的メッセージではないかとの見方が出ている。
ただし、弾道ミサイルの発射には一定の準備が必要であり、今回の発射が前日の談話に対する即時の対応だったと断定することはできない。北朝鮮側も、発射の目的や日本のトマホーク試射との直接的な関係について、具体的な説明をしていない。
日本が長射程打撃能力の整備を進める一方、北朝鮮はこれを地域の安全保障環境を悪化させる動きだと位置付け、反発を強めている。防衛省は、国民の生命と財産を守るため、米韓両国などと連携しながら、情報収集・分析と警戒監視に全力を挙げる方針である。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。