ペンシルベニア州選出の民主党上院議員は、各州がデータセンターの拡大と電力コスト、地域の保護策とのバランスを検討する中、AIとエネルギーは国家安全保障上の優先事項だと主張している。
ジョン・フェッターマン上院議員(民主党、ペンシルベニア州)は、AIやデータセンターを過度に警戒する動きに反対し、AIとエネルギー分野で米国が主導権を握ることは、国家安全保障と中国との競争において重要だと述べた。
フェッターマン氏は8月22日、Xへの投稿で、「AIにおける優位とエネルギー支配が、われわれの国家安全保障を支えている」と記した。
さらに中国共産党(中共)は、われわれの過剰反応をあおり、そこから利益を得続けていると指摘し、データセンターを巡る政治的迎合や誇張、AI終末論を退けると述べた。
この発言の4日前にあたる8月18日、同じく民主党のジョシュ・シャピロ・ペンシルベニア州知事は、大規模データセンターに対する州の許認可手続きやその他の要件を変更する行政命令に署名していた。
フェッターマン氏はシャピロ氏の名前を挙げず、自身の批判に州知事の行政命令が含まれるかどうかについても言及しなかった。
フェッターマン氏は、バーニー・サンダース上院議員(無所属、バーモント州)が求めたAI開発の一時停止にも反対している。
サンダース氏は8月10日、アンソロピック、メタ、OpenAIに対し、AI開発を「直ちに一時停止」するよう求めた。ますます高性能になるシステムを人間が制御できなくなる危険性を高めるとする事例を理由に挙げた。サンダース氏は、企業が自主的に開発を停止しなければ、上院議員らが行動を起こす可能性があると述べた。
サンダース氏の要求を伝える報道に反応し、フェッターマン氏はXに「中国はこれを聞いて喜ぶ❤️」と投稿し、米国はAI開発を主導しなければならない。そうでなければ、われわれは中共のルールの下で生きることになると述べ、そのようなことが起きてはならないとも記している。
サンダース氏はこれとは別に、新たなAIデータセンターの建設を連邦レベルで一時停止することを提案している。サンダース氏とアレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員(民主党、ニューヨーク州)は3月「人工知能データセンター建設一時停止法案」を発表した。同法案は、議会がより包括的なAI保護策を制定するまで、新たなAIデータセンターの建設を停止する内容である。
米中、AIインフラを巡り競争
トランプ政権の「米国AI行動計画」は、データセンター、半導体工場、電力事業、その他のAIに必要なインフラの許認可を迅速化するよう求めている。電力網の拡張や、データセンターとエネルギー事業への連邦所有地のさらなる活用も盛り込んでいる。
同計画は、米国には「膨大なAIインフラと、それを稼働させるためのエネルギー」が必要だとしている。
中共の国家計画文書も同様に、AI開発をコンピューティングとエネルギーのインフラに結び付けている。
中共の第15次5か年計画は、高性能コンピューティング資源の拡充、大規模なインテリジェント・コンピューティング・クラスターの整備、コンピューティング施設と電力供給の連携強化を求めている。
中共政府の2026年政府活動報告は、「超大規模インテリジェント・コンピューティング・クラスター」の整備、コンピューティングと電力インフラの連携、全国規模でのコンピューティング資源の配分、パブリッククラウドの処理能力拡大、高品質なデータセットの大規模化を求めている。
スタンフォード大学の「2026年AIインデックス」によると、米国と中国の主要モデルは2025年初め以降、首位の座を数回にわたって入れ替えている。
スタンフォード大学によると、3月時点で、モデルの回答を人間が比較する評価を含む指標において、米国の首位モデルが中国の首位モデルを2.7%上回っていた。
同インデックスはまた、米国が引き続き、より多くの最上位AIモデルと影響力の高い特許を生み出す一方、中国はAI関連の論文数、引用数、特許付与件数で首位に立っていると指摘した。
フェッターマン氏が中国に言及した背景には、中国と関係する主体が米国内のAIインフラを巡る対立を利用しようとした事例が記録されていることもある。
共和党の下院エネルギー・商業委員会幹部3人は6月、外国の敵対勢力が米国のデータセンター開発を遅らせようとしているとの疑惑について説明するよう、連邦捜査局(FBI)とホワイトハウス科学技術政策局に求めた。
OpenAIも6月、中国から発信された可能性が高いアカウントが米国人を装い、データセンターと電力コストを批判する内容を作成していたと報告した。OpenAIによると、この活動は既存の懸念を利用しようとしたものだったが、その活動自体を超えて意味のある広がりを得たことを示す証拠は確認されなかった。
電力コストを巡り連邦政府が対応
大規模データセンターに必要な電力や電力網インフラの費用を誰が負担するのかを巡る懸念を受け、AI処理能力の拡大を進める一方で、連邦政府も対応に乗り出した。
アマゾン、グーグル、メタ、マイクロソフト、OpenAI、オラクル、xAIは2026年3月4日、ホワイトハウスの「電気料金負担者保護誓約」に署名した。
各社は、データセンターに必要な追加電力を自ら発電、調達、または購入し、データセンターへの供給に必要な新たな送電インフラの費用を負担することに同意した。また、別個の料金体系について交渉し、最終的に当初の申請量より少ない電力しか使用しなかった場合でも、その費用を負担することに同意した。
ホワイトハウスは7月、この誓約の対象を新たな公益事業者、開発事業者、協同組合、州へ拡大した。

議会も関連する取り組みを検討している。
超党派の「電気料金負担者保護法案(H.R.9340)」は7月21日、下院エネルギー・商業委員会で52対0の賛成により可決され、審議が前進した。
同法案は州の公益事業規制当局に対し、データセンターやその他の新たな大口電力需要家が、電力供給に伴って追加で必要となる発電、送電、配電、その他の電力網費用を負担するための基準を検討するよう義務付ける内容である。
ペンシルベニア州、データセンター規則を変更
シャピロ氏が8月18日に署名した行政命令は、ピーク時の電力需要が25メガワットを超えるデータセンターを対象に、新たな許認可手続きを設けた。
優先的な審査を受ける開発事業者は、ペンシルベニア州環境保護局(DEP)と協定を結び、ピーク時と年間の需要を賄える追加電力を確保しなければならない。騒音や交通、大気、水利用、景観、緊急時対応などについても、地元自治体と対策を定める必要がある。
協定を結んだ事業者は、必要な申請を提出した段階から順次審査を受けられる。一方、協定を結ばない場合は、自治体や取水・排水に関する承認が整うまで審査が始まらない。違反した事業者には民事罰を科し、優先審査から除外できる。
行政命令は、データセンターを州の許認可迅速化制度から除外し、新規事業者が設備免税を受ける際にも新たな要件を課す方針を示した。また、州政府機関による秘密保持契約を禁じ、許認可情報の公開を義務付けた。
2027年7月1日から、州内で稼働するデータセンターは、エネルギーと水の使用量、ピーク時の電力需要、環境負荷を抑える措置などを報告しなければならない。
州の公益事業委員会も、データセンターなど大口需要家向けの料金制度を整備している。行政命令は、電力網の緊急時にはデータセンターがほかの利用者より先に使用量を減らすことや、系統接続などの追加費用をデータセンター側に負担させることを検討するよう求めている。
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