中共系ハッカーがDeepSeek悪用 AI活用でサイバー攻撃2倍超に

2026/08/25
更新: 2026/08/25

台湾のサイバーセキュリティ企業TeamT5は、中国共産党(中共)当局と関係するハッカー集団がDeepSeekなどのAIを活用し、海外へのサイバー攻撃を拡大しているとの調査結果を明らかにした。

ブルームバーグが8月24日に報じたTeamT5の最新調査によると、これらのハッカー集団は単純作業をAIに任せるほか、高度なマルウェアの開発にもAIを利用している。AIの活用により、攻撃件数は従来の2倍以上に増えたという。

研究者によると、中国ではMoonshot AIの「Kimi K3」など、より高性能なモデルも開発されているが、ハッカーの間ではDeepSeekが好まれている。悪用を防ぐための安全対策が比較的弱く、運用コストも低いためだという。

TeamT5はこれまで、Kimi K3が使われたサイバー攻撃を確認していない。研究者は、Kimi K3の運用コストがハッカーにとって高すぎることが理由の一つとみている。

TeamT5の首席アナリスト、李庭閣氏は「DeepSeekは中国のハッカーが好んで使うAIだ。高性能である一方、安全対策が非常に弱い」と指摘した。

「欧米のAIモデルも人気が高いが、安全対策はより厳しく、その制限をかいくぐるにはさらに手間がかかる」

TeamT5によると、中共系ハッカーはDeepSeekとほかのオープンソースAIモデルを組み合わせ、標的の事前調査や攻撃コードの作成など、サイバー攻撃のさまざまな段階で利用している。

TeamT5が入手したスクリプトやログからは、ここ数か月、中共と関係するハッカー集団が実際の攻撃でこれらのAIモデルを使用していたことが確認された。

例えば、ハッカー集団「Grimfengxi」は、DeepSeekを使って脆弱性を突くコードを作成していた。

別の集団「Huapi」は、中国製AIモデルを使って台湾企業のメールシステムを攻撃した。研究者は、使用されたモデルがDeepSeekだった可能性が高いとみている。

また、「Teleboyi」と呼ばれる集団はDeepSeekを使い、インターネット上から1千件のIPアドレスを収集し、標的企業のドメイン構成を調べていた。

研究者がこうした実態を把握するきっかけとなったのは、一般公開された共有ドライブだった。そこには中国語のスクリーンショットが数千枚保存されており、中には今年2月に撮影されたものもあった。

画像からは、約10人の従業員を抱える小規模なスタートアップ企業が、販売目的のハッキングツールを開発していたことが分かった。ソフトウェアの販売価格は30万〜50万元で、少なくとも4つのハッカー集団が顧客だったという。

これらの集団は、それぞれ異なるサイバー攻撃を行っていた。そのうち一つの集団の活動は、「Mustang Panda(マスタング・パンダ)」と呼ばれるハッカー集団の活動と一部重なっていた。米司法省はMustang Pandaについて、中共政権の支援を受けているとしている。

TeamT5の調査では、安全対策が比較的厳しい欧米のAIも、中共系ハッカーによる悪用を完全には防げていない実態が明らかになった。

TeamT5によると、「Slime22」と呼ばれるハッカー集団は、台湾のテクノロジー企業のシステムに侵入した後、Anthropicの「Claude Code」を使って社内ネットワークで侵入範囲を広げた。

同集団は侵入後、セキュリティ診断や侵入テストなどに使われる「Kali Linux」の環境を構築し、Claude Codeに同システムを操作させて、ネットワーク内部でさらに侵入を進めたという。

TeamT5は、ハッカーは正規のサイバーセキュリティ試験を行うエンジニアを装い、Claude Codeの安全制限を回避したと説明した。

Anthropicは、中国企業の支配下にある企業や組織による同社サービスの利用を禁止している。

同社は2025年11月、中共の支援を受けたハッカー集団が、同年9月にClaude Codeを利用し、世界の約30の組織を標的にサイバー攻撃を仕掛けたと発表した。標的には大手テクノロジー企業、金融機関、化学メーカー、政府機関などが含まれ、少数の標的では実際に侵入に成功したという。

Anthropicによると、攻撃者は正規のサイバーセキュリティ企業の社員を装うなどしてClaude Codeの安全制限を回避し、標的への侵入や情報収集などに利用した。

同社は、人間による大幅な介入なしに実行された大規模なサイバー攻撃として、初めて確認された事例だとしている。

DeepSeekは、ブルームバーグの取材に回答しなかった。

林燕