中国共産党当局は、チベット側で行方不明となっている人のうち、18人が米国人だとしている。
米国務省は8月30日、中国とネパールの国境沿いにある村々をのみ込み、地域の重要インフラを破壊した先週の洪水を受け、米国人約85人が依然として行方不明になっていると発表した。
米国務省のトミー・ピゴット報道官による発表は、ネパール当局が新たな洪水発生の可能性について警告し、中国k共産党(中共)政府が国境の中国側で行方不明となっている人の国別内訳を初めて公表した数時間後に行われた。
ピゴット氏はABCニュースの番組「ディス・ウィーク」で、「今朝午前6時現在、約85人の米国人の安否が確認できていない。また、米国人9人が無事に避難したことも確認している。現時点で、米国人の死者は把握していない」と述べた。
ピゴット氏によると、米国は360万ドルの緊急人道支援を実施しており、洪水の被害を受けた最大1万世帯に対する最長3か月分の緊急食料などの支援をしている。米国の支援は、道路の復旧や、深刻な被害を受けた遠隔地に到達するための専門的な輸送手段の確保にも活用されるという。
同氏は「北京とカトマンズの米国大使館は、信頼できる情報を得るため、現地当局との連絡と調整を24時間態勢で行っている」と説明した。
また、「この地域にいる米国人は、スマート・トラベラー登録プログラムに登録してほしい。われわれが連絡を取る方法と、その人がどこにいるかを把握するために極めて重要である」と呼びかけた。
ピゴット氏によると、米国の被災地対応顧問が現地に入り、必要な支援を提供するため、ネパール当局と調整している。
同氏は「われわれの優先事項は、米国民の安全と安心である。指摘されたように、現場が遠隔地にあるため、信頼できる情報を得るのは困難だ。しかし、われわれの取り組みは変わらない」と述べた。
3千人以上が行方不明
ネパール国家災害リスク軽減管理庁が8月30日に発表した声明によると、国境のネパール側では、鉄砲水による死者が781人に増え、依然として2502人が行方不明となっている。
ネパール観光局は別のSNS投稿で、外国人観光客591人が依然として「連絡が取れない」状態にあると発表した。

国境の反対側では、中共当局がチベットで16人の死亡を確認した。8月29日夜の時点で、中国人と外国人を含む546人が行方不明となっている。
国営中央テレビ(CCTV)が公表した記者会見の記録によると、チベット当局は、行方不明となっている外国人観光客261人が23か国の出身者で、最も多いのはネパール人の104人だと説明した。
このほか、インド人49人、ラトビア人33人、米国人18人、英国人15人、カナダ人6人、オーストラリア人6人、南アフリカ人4人が行方不明となっている。
中共当局が、チベットで連絡が取れなくなっている外国人の国籍別内訳を公表したのは初めてとなっている。
チベットは、中国で抑圧が最も厳しい地域の一つである。中共政権は、軍が1951年に同地域を支配下に置いて以来、現地のいかなる反対意見に対しても厳しい姿勢を維持している。外国人記者が現地へ入るには特別な渡航許可が必要で、米当局者によると、この許可が下りることはほとんどない。
先週の洪水発生後、中国の報道機関は主に国営メディアの報道に依存してきた。このため、人里離れたヒマラヤ地域の実情を、当局の公式発表以外から把握することは困難になっている。

原因についての初期評価
米地質調査所は、ネパールと中国の国境付近で発生した「氷河の崩壊と土石流」が、「その後、下流域に壊滅的な被害」をもたらしたと判断した。
中国政府系の中国科学院に所属するスー・ポンチョン研究員は、8月30日の説明会で、これと同様の見方をより詳しく示した。
スー氏によると、8月28日午前10時52分ごろ、ネパール・ヒマラヤ山脈の支脈に位置するランタン・リルン山の北斜面で、標高約5200メートルの氷河が突然崩壊した。
落下した氷と岩石は急速に標高約4千メートルまで流れ落ち、その途中で山肌を削り、土砂を巻き込みながら「巨大な土石流」を形成したという。
土石流はその後、河川に沿って高速で流れ、標高1800メートルに位置する中国とネパール間の主要な国境検問所、吉隆口岸を襲った。
スー氏によると、この一連の過程にかかった時間は、わずか6~7分だった。
土石流により、約173エーカーの地域が壊滅的な被害を受け、建物と関連施設約27棟が流された。国境検問所へ通じる道路も破壊され、通信と電力が途絶したという。

中共当局による検閲
中国共産党は近年、災害や悲惨な事件に関する情報の流通に対する統制を一段と強化している。公式発表への批判や疑問は、SNS上から速やかに消されることが多い。中共政権には、自らのイメージを損なうと判断した情報を隠してきた経緯もある。
中国メディアの報道は、中共による洪水への対応に集中している。国内メディアが放送した映像や写真は、被災者の状況ではなく、兵士や警察官などの救助隊員が泥の中を進み、生存者を捜索する様子を中心に伝えていた。
CCTVは8月30日、洪水に関する報道のコメント欄で、当局が虚偽とする情報を拡散したとして、市民2人を警察が処分したと報じた。

周という姓の38歳の男性は、短編動画プラットフォーム上で死者数や行方不明者数を誇張するコメントを投稿したと警察に判断され、行政処分を受けたうえ、コメントの削除を命じられた。
CCTVによると、徐という姓の43歳の女性は、「災害の原因について虚偽の説明を捏造した」として「批判教育」を受けた。
CCTVは、徐氏がどのような主張をしたのかについては明らかにせず、投稿を削除し、インターネット関連法規を順守するとの誓約書に署名したとだけ伝えた。
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