中国共産党(中共)財政省と国家税務総局は9月1日、32年間続いてきた外国人への配当所得の免税措置を廃止した。新規定は発表当日に施行し、外国人が外資系企業から受け取る配当に20%の個人所得税を課す。
発表当日に施行 経過措置なし
両部門の発表によると、外資系企業が外国人に配当を支払う際、企業が個人所得税を源泉徴収し、支払った翌月15日までに申告・納税しなければならない。
企業が税金を源泉徴収しなかった場合は、外国人本人が配当を受け取った翌年6月30日までに納税する。税務当局が別途期限を指定した場合は、その期限内に納める必要がある。
今回の通知では、1994年に導入した関連免税規定を廃止した。発表当日から施行し、経過措置は設けていない。
中共国務院は2013年の時点で、この免税措置を廃止する方針を打ち出していたが、正式な実施まで13年を要した。
今回の措置はネット上でも議論を呼んでいる。ある金融系ブロガーは「32年間の免税、移行期間は0日」と表現した。
Xのユーザー「Finding」は「国庫はいったいどれだけ空っぽなのか」と疑問を呈し、かつて新華社傘下のシンクタンクが「李嘉誠を逃がすな」と訴えていたのが、今では「外国人を逃がすな」に変わったと皮肉った。
香港紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」によると、税務当局の相談窓口は1日の時点で、新規定を香港・マカオ・台湾の居住者や、中国国外に住む外国人株主にも適用するのか確認できなかった。
同紙が税務コンサルティング会社の見解として、条件を満たす外国人株主は、中国と各国・地域が結ぶ租税条約に基づき、より低い税率の適用を受けられる可能性があると伝えた。ただし、本人の税務上の居住地や居住者区分、租税条約の適用条件を個別に確認する必要がある。
「税負担は増えない」との説明に疑問
中共官製メディアは今回の免税措置廃止について、「全国統一大市場」の整備を進めるとともに、税制上の優遇措置を整理し、課税上の抜け穴をふさぐためだと説明している。
中共財政科学研究院・公共収入研究センターの責任者、梁季氏は、欧米などでは一般に居住者の海外所得にも課税しており、外国人が中国で納めた税金は居住国で課される税額から控除できるため、実際の税負担は「増えない」と主張した。
一方、サウスチャイナ・モーニング・ポストが引用した税務コンサルティング会社の分析では、外国税額控除を利用できるか、またどの程度控除できるかは、本人の税務上の居住地や居住者区分、居住国・地域の税制、さらに二国間の租税条約によって異なる。
居住国側の税率が中国より低い場合や、そもそも配当に課税していない場合、中国で納めた税金を全額控除できないこともあり、実際の税負担が増えないとは限らない。
景気低迷のなか徴税強化
中国では景気減速が続き、消費は低迷している。地方財政も厳しさを増している。
中共国家統計局によると、今年第2四半期の経済成長率は前年同期比4.3%で、第1四半期の5%を下回った。1〜7月の社会消費品小売総額も前年同期比1.2%増にとどまった。
中共財政省のデータによると、2025年の全国一般公共予算収入は前年比1.7%減少し、年間の財政赤字は5兆6600億元に達した。今年1〜7月には、地方政府の土地使用権の譲渡収入が前年同期比30.8%減の1兆1700億元まで落ち込んだ。
台湾中央通信社によると、中共は近年、「全国統一大市場」の構築を掲げ、地方政府が独自に設けてきた企業誘致の優遇措置を相次いで廃止している。
同通信社は、中国経済の低迷と財政難が深刻化するなか、当局が過去にさかのぼる追徴課税や社会保険料の徴収を強化していると報じた。
企業に対しても、従業員の実際の賃金に基づいて社会保険料を納付するよう求め、賃金を低く申告して保険料負担を減らすことを認めない方針を強めている。
中央通信社は、今回の外国人に対する配当所得の免税廃止についても、中共が最近進める税・社会保険料の徴収強化の一環と位置づけている。
2025年以降、北京、上海、江蘇、浙江などの税務当局は、海外の証券会社を通じて香港株やアメリカ株を売買した一部の中国本土居住者に対し、2022〜24年の海外投資による所得を申告し、未納分を納付するよう求めている。
今年7月には、中共財政省と国家税務総局が海外信託に関する個人所得税の新規定も発表した。中国の居住者個人に対し、公告施行から90日以内に、2023〜25年の海外信託への財産移転に伴う未納税額を申告・納付するよう求めている。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。