米軍が対中封じ込め加速 太平洋にミサイル基地の建設を要望

2021年03月08日 19時28分

米インド太平洋軍は3月1日、拡張を続ける中国共産党政権に対する抑止力を高めるため、4600億円の追加予算を求める要望書を連邦議会に提出した。新兵器の調達や基地の建設、同盟国との交流促進などが含まれている。Defense Newsなど複数のメディアが報じた。

インド太平洋軍が提出した要望書には、2022年度の4600億円分の予算だけではなく、2022年から2027年の間に2.9兆円相当の予算を地域に投じるよう求めている。その中には、グアムに全方位からの攻撃に対応可能な統合防空機能を構築するプランが含まれている。

インド太平洋軍は、中国の定めるフィリピンから台湾、日本の南西諸島を含む対米防衛ライン「第一列島線」に沿って、射程500キロメートル以上のミサイルを配備するよう要求する。その背景には、中国軍が多数の巡航ミサイルと弾道ミサイルを保有しており、地域で圧倒的な優位性をもっているからだ。

軍事パレードでのDF-21中距離弾道ミサイル(GREG BAKER/AFP via Getty Images)

かつてアメリカと旧ソ連は、軍備拡張競争を制限するため、中距離弾道ミサイルを破棄している。しかし中国は当時条約締結国ではなかったため、中距離弾道ミサイルを保有しており、米軍及び太平洋諸国にとって大きな脅威となっている。

インド太平洋軍はアメリカが太平洋により重きを置くべきと訴えている。要望書によると、来年度の46億ドルの予算は「21年度の国防総省の総予算の1%未満であり、20年度の欧州の防衛に費やされた金額(59億ドル)の3分の2」である。

バイデン政権も中国に対して厳しい対応をとることを示唆している。先月の上院の承認公聴会で、ロイド・オースティン国防長官は中国をペンタゴンの脅威として認めた。

同盟国と協力関係を深める米国

対中封じ込み政策の一環として、米国は台湾に対して10回以上武器供与を行い、中華民国国軍の戦闘能力を格段に向上させた。

2019年7月には米軍現役の「M1A2エイブラムス戦車」108両や、地対空ミサイルなど総額22億ドル(約2300億円)の売却を承認した。M1A2戦車は米軍の各地での戦闘に参加しており、高い性能と信頼性は実戦で証明済みだ。前身であるM1A1戦車は湾岸戦争の大規模な戦車戦に参加、イラク軍戦車を多数撃破している。

合同軍事演習にて実弾射撃を行う米軍M1A2戦車(Photo credit should read VANO SHLAMOV/AFP via Getty Images)

同年8月には、新型のF16V戦闘機66機を総額2472億台湾ドル(約8900億円)で売却することを決定した。「F16V(バイパー)」はF16戦闘機の最新型であり、機体の強度を向上させたほか、ミサイルの積載量を向上させることができる。台湾軍はすでに約140機のF16を所有している。

展示中のF-16V戦闘機。台湾南部の嘉義市にて撮影。(Photo by SAM YEH/AFP via Getty Images)

さらに10月には空対地ミサイル(AGM)など総額18億ドル(約1900億円)の武器売却を承認したほか、ボーイング社製の空対地ミサイル「SLAM-ER」135発や、ロッキード・マーチン製のロケット砲システム「HIMARS」など3種類の兵器システムの売却を承認した。

アメリカ政府は2020年10月26日、台湾に対し「ハープーン」対艦ミサイル400発および発射機100基などを売却することを承認した。これは中国人民解放軍の上陸部隊や、台湾海峡で活動する中国人民軍海軍の艦艇に大打撃を与えることができる。

米国はまた、アジアにおける最大の同盟国である日本との関係構築を進めている。日米両国の政府は3月4日、テレビ会議による二国間安全保障協議を行った。

会議では、新型コロナウイルスの影響や地域の問題、二国間の防衛協力など、インド太平洋の安全保障環境について意見交換を行った。日米双方は、東シナ海と南シナ海での力による現状変更の試みに強い反対を表明したとともに、中国の海警法に対する深い懸念を共有した。

そして、抑止力と対応力を強化することで自由で開かれたインド太平洋を維持し、日米同盟を強固なものにするべく継続して連携を緊密にすることを確認した。

(王文亮)

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