和歌山県の梅の産地で、これまでにない大きな雹(ひょう)被害が起きた。強い雹が降ったことで、多くの梅の実に傷がつき、見た目が悪くなった。今年は、梅干しとして使えない梅が大量に出ているという。
こうした状況について、紀州で梅づくりを行う株式会社うめひかりは、自社ブランド「梅ボーイズ」のX(旧ツイッター)で、強い危機感を訴え、話題となっている。
同社は「昔ながらの手づくりの梅干しの味」を日本の食卓に残すため、塩と紫蘇だけで無添加の梅干しを漬けている。
同社は投稿で、「ここで外国産の梅に頼ってしまうと、『紀州産の梅が回復するまで』では終わらない可能性がでる」と訴えている。一度、原料が海外産に切り替わると、将来も国産の梅に戻らなくなるおそれがあるという。
また食料新聞オンライン情報サービスによると、紀州みなべ梅干協同組合の殿畑雅敏理事長は「紀州産の原料状況が落ち着くまで中国産にシフトするのはやむを得ない状況だ」と厳しい状況にあることを明かした。
国産梅が減ると 何が起こるのか
背景には、梅農家の高齢化と後継者不足がある。梅を育てる人が減っている中で、収穫量が大きく落ち込むと、農家をやめる人が一気に増える可能性がある。
農家が減れば、日本産の梅は安定して作れなくなる。その結果、梅干しの原料が海外産に切り替わる。いったん海外産が主流になると、再び国産に戻すことは難しいと同社は指摘する。
「梅干しが売れても、梅を育てる農家が成り立たなければ、日本の梅干しは続かない」としている。
梅干しにならない梅も使う取り組み
今年の被害では、梅干しに向かない梅が多く出ている。うめひかりは、そうした梅を無駄にしないため、梅肉チューブなど別の商品として活用する取り組みを進めている。
昨年5月には、傷ついた梅を使うためのクラウドファンディングも行った。すべての需要には応えきれておらず「まだまだ梅干しを求める人が多いのが現状」と加工品への転換の難しさを語った。
同社は、「梅干し以外の形でも国産の梅を選んでもらうことが、結果的に梅農家を守ることにつながる」と呼びかけている。
国産梅を守るために
うめひかりは、梅を育てるところから梅干しを作るところまでを一貫して行っている。農家と加工が分かれている一般的な形とは異なり、作り手の思いが直接商品に反映される仕組みだ。
この2年間で、新たに13人の梅農家が生まれたという。
今回の雹被害は、自然の力によるものだが、その影響は一時的では終わらないかもしれない。国産の梅干しがこれからも身近な食べ物であり続けるかどうかは、産地と消費者の選択にかかっている。
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