トランプ氏 グリーンランド取得を巡り「純粋に平和を考える義務は感じない」とノルウェーに伝達

2026/01/21
更新: 2026/01/21

ドナルド・トランプ米大統領は、国際法上デンマーク王国の領土と認められているグリーンランド島を米国が取得する構想を巡り、ノルウェーのヨナス・ガール・ストーレ首相に対し、「もはや純粋に平和だけを考える義務は感じていない」と伝えていたことが分かった。

トランプ大統領は1月18日、ストーレ首相に送ったテキストメッセージの中で、ノルウェーが自身にノーベル平和賞を授与しなかったことに触れ、以下のように述べ、グリーンランドに対する米国の支配を改めて要求した。

「あなたの国が、私が8つ以上の戦争を止めたにもかかわらずノーベル平和賞を与えないと決めたことを考えると、純粋に平和だけを考える義務はもはや感じない。ただし平和は常に最優先事項であり続けるが、今後はアメリカ合衆国にとって何が正しく適切かを考えることができる」

トランプ大統領は同じメッセージで、デンマークについて「ロシアや中国からその土地を守ることはできない」と述べ、さらに「グリーンランドを完全かつ全面的に掌握しない限り、世界は安全ではない」との認識を示した。

このテキストメッセージは、米国と欧州連合(EU)との間で緊張が高まる中、複数の欧州首脳にも転送された。なお、ノルウェー・ノーベル委員会は2025年のノーベル平和賞を、ベネズエラの野党指導者マリア・コリナ・マチャド氏に授与している。

1月15日には、マチャド氏がホワイトハウスを訪問した際、自身のノーベル平和賞メダルをトランプ大統領に贈呈した。ノーベル委員会は賞の譲渡は認められていないとしているが、トランプ大統領はメダルを保持する意向を示している。

ストーレ首相は1月19日に声明を発表し、グリーンランドに対するデンマークの主権を支持するノルウェーの立場を改めて表明するとともに、ノーベル平和賞は政府ではなく独立した委員会によって授与されるものだと強調した。ストーレ首相は、「ノルウェーのグリーンランドに関する立場は明確であり、グリーンランドはデンマーク王国の一部で、ノルウェーはこの問題についてデンマーク王国を全面的に支持する」と述べた。

19日夜、記者から、ノーベル平和賞を受賞できなかった事が、大統領のグリーンランドに対する考え方に影響したのかと聞かれたトランプ大統領は「ノーベル賞など気にしていない」と答え、ノーベル委員会は形式上は理事会があるもののノルウェーが支配していると主張したうえで、自身が関心を持っているのは命を救うことであり、数千万人の命を救ってきたと述べた。

トランプ大統領はまた、スイス・ダボスで今週開催される世界経済フォーラム(WEF)で、グリーンランド取得について協議する意向も示した。

ホワイトハウスは、ストーレ首相宛てのトランプ大統領のメッセージに関するコメント要請に直ちには応じなかった。

トランプ大統領は1月20日未明、グリーンランドを巡り北大西洋条約機構(NATO)のマルク・ルッテ事務総長と「非常に良い」電話会談を行ったとも明らかにした。また大統領は、WEFの場で複数の関係者との会合を行うことに合意したと述べたが、具体的な相手については明らかにしなかった。

トランプ大統領はトゥルース・ソーシャルへの投稿で、「グリーンランドは国家安全保障および世界の安全保障にとって不可欠だ。この点について後戻りはない。これには皆が同意している」と述べた。

トランプ大統領はこれまでも、豊富な天然資源や米国のミサイル防衛計画への有用性、ロシアなどの敵対国に近接している点を理由に、グリーンランド取得は米国の国家安全保障にとって極めて重要だとしており、軍事的手段による取得も排除していない。

ノルウェーの情報公開法に基づき、その後、このテキストのやり取りの全容が公表された。トランプ大統領は、ストーレ首相とフィンランドのアレクサンデル・ストゥッブ大統領からの連名メッセージへの返信としてこの発言を行っていた。ストゥッブ大統領は文中で「アレックス」と呼ばれていた。

両首脳は、グリーンランド、ガザ、ウクライナ、そしてトランプ大統領が前日に発表した関税措置に言及し、緊張緩和と協調の必要性を訴え、電話会談を提案していた。ストーレ首相とストゥッブ大統領は、EUの他の国々とともに、トランプ大統領のグリーンランド掌握構想に強く反対している。

1月18日に開かれた緊急会合の後、EU首脳らは、グリーンランドに対していかなる形の威圧が行われた場合でも「自らを守る用意がある」との立場を表明した。

この会合は、トランプ大統領が2月1日からデンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フランス、ドイツ、英国、オランダ、フィンランドからの輸入品に10%の関税を課し、6月1日には25%に引き上げる計画を発表したことを受けて開催されたもので、今週後半にはEU首脳の正式な首脳会議が予定されている。

トランプ大統領は1月17日のトゥルース・ソーシャルへの投稿で、グリーンランドの「完全かつ全面的な購入」に関する合意が成立するまで、この関税措置を維持すると述べた。

また、1月18日のテキストメッセージでは、デンマークのグリーンランドに対する歴史的な「所有権」に疑問を呈し「書面による文書は存在せず、何百年も前に船が上陸したというだけだが、我々の船も上陸していた」と主張した。

トランプ大統領はさらに、NATO創設以来、自身ほど同盟のために尽くした人物はいないと述べ、NATOは世界の安全保障の名の下に、グリーンランドの「完全かつ全面的な掌握」を確保するため米国を支援する義務があるとの考えを示した。

スコット・ベッセント米財務長官は、グリーンランドを巡るトランプ大統領の対応を擁護した。ベッセント長官はダボスで記者団に対し、大統領がノーベル平和賞を理由にこの問題を進めているという見方は全くの作り話だとしたうえで、大統領はグリーンランドを米国にとっての戦略的資産として捉えており、「我々は自国の半球の安全保障を他国に委ねるつもりはない」と述べた。

ベッセント長官はまた、ノルウェー宛ての大統領書簡については「何も知らない」と語っている。

ロイター通信が本報道に協力した。

エポックタイムズ記者。主に議会に関する報道を担当。
エポックタイムズの記者。カリフォルニアのニュースを担当。2018年の移民キャラバン危機の際には編集者として米国とメキシコの国境の現場を報道。