中国湖北省で、自宅で海外のSNSを見ていた男性が処罰される出来事があった。中国事情をあまり知らない日本人からすれば、ネットを見るだけで罰金を科されるというのは不思議な話である。
当局の発表によると、湖北省鄂州(がくしゅう)市に住む男性は、3月8日夕方、自宅でスマートフォンに専用ソフトを入れて海外のネットに接続し、TikTokやXを閲覧していた。これが「許可なく海外ネットに接続した行為」と判断され、警告とともに200元(約4千円)の罰金を科された。
中国では、海外のSNSやニュースサイトの多くが通常の方法では閲覧できない仕組みになっている。専用ソフトを使って接続する行為は違反とされる場合があり、今回のように処分の対象となる。
こうした事例は珍しいものではない。中国では、専用ソフトを使って海外サイトに接続する、いわゆる「壁を越える」行為で処分されるケースは各地で繰り返し報告されている。今回のように個人が自宅で閲覧していただけでも、罰金や警告の対象となることがある。
2023年には、海外企業と仕事をするために同様の方法でネット接続していた技術者が、約105万元(約2100万円)の収入を没収されるケースもあった。さらに、店で海外番組を流していたとして5千元(約10万円)の罰金を科された例なども報じている。
背景にあるのは、中国独自のインターネット規制の仕組みだ。海外サイトへの接続は大きく制限しており、一般の人が自由に閲覧することはできない。この遮断システムは、「グレートファイアウォール」と呼ばれている。
では、なぜここまで厳しく制限しているのか。理由は単純で、海外の情報がそのまま国内に入ると、政府の発信と食い違う内容が広がる可能性があるためだ。国内では報じない事件や批判的な意見、別の視点のニュースが、海外サイトにはそのまま存在している。
中国では、こうした情報の流入を制限することで、社会の安定を保つという建前を取っている。しかし実際には、「どの情報に触れるか」を国家が選別する構造になっている。
そのため、多くの人は国内の情報環境の中だけで物事を判断することになる。外の世界と比較する機会が限られることで、結果的に一つの見方が強く共有されやすい。
一方で、この壁を越えようとする動きも続いている。海外では、情報規制を突破する技術の開発や支援を進めている。情報を巡る攻防は、今も静かに続いている。

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