中東情勢の緊迫化に伴い、ホルムズ海峡のリスクが高まっている。ひとたび問題が発生すれば、中国の輸出やエネルギー輸送に大きな影響が及ぶ。北京の外交関係者の話として、中国共産党(中共)が当初、この機会を利用して影響力拡大を図ろうとしていたものの、現在は明らかに行き詰まっている。
消息筋によると、中共の王毅外相は最近、イラン側と複数回にわたり協議を行い、中国商船の安全確保を主要議題としてきたが、イラン側の反応は冷淡で、「一部」の対イラン向け中国貨物に限り安全を保障するとしたうえで、その「一部」に限定する点を強調したという。
消息筋は、このような「選択的な安保」は、イラン政権が中共に対し軍事支援を拒否したことへの「ソフトな仕返し」に当たると指摘。すなわち、中共に対し、イランへの軍事支援か、貿易の安全確保かの選択を迫るかたちである。この結果、王毅による度重なる交渉は成果を上げられず、中共・ロシア・イランの三者間で思惑が交錯する状況に陥っている。
また、中共の外交事情に詳しい孫珉さんは、大紀元の取材に対し、北京は本来イランとの特別な関係を活用し、アメリカとイランの対立における仲介役を担うことで国際的な影響力の向上を図る構想だったと明かした。ただ、現時点でその進展は順調とは言えないという。
孫さんによれば、ロシアも中東問題への関与を強めており、各国は一枚岩ではない。さらにイランは現在、外交的立場よりも実際の軍事支援を重視しており、このことが中共を難しい立場に追い込んでいる。仮に軍事支援に踏み切れば、アメリカおよび同盟国との対立は不可避であり、支援を見送ればイラン問題における影響力低下は避けられない。
中国の独立系研究者である秦さんは、こうした状況について、中共が長年採ってきた「陣営対抗の思考」(中国の政治・外交的文脈で頻出する表現)の反作用だと分析する。地域勢力を利用してアメリカをけん制する戦略が、結果的に自らを縛る形となったと指摘した。
同氏はさらに、「北京は現在、いわば自縄自縛の状態にある。自ら支援してきた勢力が、かえって自国の経済的生命線に影響を及ぼしている」と述べた。ホルムズ海峡で混乱が生じれば、世界の物流に打撃を与えるだけでなく、中共の戦略にも重大な影響を及ぼすとみられる。
加えて、中東情勢の余波はすでに中国の製造業にも及んでいる。広東省深圳市東部に位置する塩田港では、中東向けコンテナの滞留が発生しているほか、原油価格の変動が原材料費や輸送コストを押し上げ、製造業の利益率を一段と圧迫している。
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