中国当局が、公務員や関係者の海外渡航を一段と厳しく管理する動きを強めている。
背景には、家族を海外に移住させる「裸官(らかん)と呼ばれる官僚への警戒があるとされるが、その規制は一般市民にも広がりつつあり、「事実上の鎖国ではないか」との声も上がっている。
中国政府は4月、海外に逃れた資産や関係者の追跡を目的とする「天網2026」行動を開始した。これに合わせて、公務員の私的な海外渡航の管理強化や、家族が海外に住む官僚の実態調査を進める方針を示した。
「裸官」とは、配偶者や子供が海外に移住している官僚を指す。さらに最近では、子供だけが海外に住み、配偶者は国内に残る「半裸官」も監視対象に加えられ、より厳しい報告義務や管理を課している。
こうした動きは以前から続いているが、今回の特徴は対象の広がりにある。これまで主に高級官僚が対象だったが、近年は退職した公務員にも規制が及び、出国には事前の許可が必要となるケースが増えている。さらに、教師や公的機関の職員などにも同様の管理が拡大している。
現場からは「パスポートを職場に預けるよう求められる」「退職後も自由に海外へ行けない」といった声が上がっている。中国各地では、出国手続きが従来の届け出制から審査制に変更する例も報告されている。
一方で、「裸官」対策そのものについては疑問の声もある。過去には、家族が海外に住む高官が処分を受けつつも、完全に職を失わず穏便な退任にとどまるケースが相次いだ。こうした対応について、専門家は「処分にばらつきがあり、権力内部の都合で判断している可能性がある」と指摘する。
また、中国の最高指導部周辺にも海外に家族や資産を持つ人物がいるとされ、厳格な取り締まりが難しい背景がある。
中国では近年、資本流出や人材流出への警戒が強まっており、当局は出国管理を強化してきた。
今回の措置について、台湾の研究者は「政権維持への不安が強まっている表れであり、結果として国全体が閉鎖的になっている」と分析している。
こうした流れの中で、海外渡航の自由を制限する状況は、公務員にとどまらず一般市民にも影響を及ぼし始めている。中国社会の閉鎖化がさらに進むのか、今後の動向が注目される。
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