中共 対米交渉で新手法 協力姿勢の裏で「実行先送り」か

2026/05/20
更新: 2026/05/20

最近、米中双方は貿易、重要鉱物、技術規制などをめぐり、複数回にわたって接触を行っている。ホワイトハウスは17日、トランプ米大統領と習近平の会談で、米中が複数の点で一致したと発表した。中国共産党(中共)は2028年まで、毎年少なくとも170億ドル(約2兆6350億円)相当のアメリカ産農産物を購入することを約束し、米側と貿易・投資委員会を設置することで合意した。双方は、関係の安定化を図る姿勢も示した。ただし、北京によるレアアース輸出制限措置は、現時点で緩和されていない。

戦狼外交から「態度を使い分ける外交」へ

米中外交のやりとりに詳しい中共関係者、関静文氏(仮名)は最近、大紀元の取材に対し、中共内部ではここ最近、対米戦略が密かに調整されていると明かした。政治、技術、経済・貿易の各分野で、過去のようにアメリカに対して公然と強硬姿勢を取るやり方ではなくなっているという。

関氏は「今は直接対立するのではなく、いったん約束し、その後に対応を変える方法でアメリカと駆け引きしている。言い換えれば、今日はアメリカに約束するが、その前提は米側が中共の求めに応じることだ。米側が口では約束しても実行しなければ、こちらもいつでも態度を変える。レアアース供給の削減がその例だ」と述べた。

同氏は例として、「レアアースを提供すると約束しても、承認にかかる時間を引き延ばし、必要に応じて供給を滞らせる」と説明した。

ロイターは5月13日、中共税関総署のデータを引用し、中国の複数のレアアースの輸出量が、昨年4月に中共が輸出規制を導入する前と比べ、依然として約半分にとどまっていると報じた。専門家の間では、中共が輸出許可を選別的に出しているのではないかとの疑問が出ている。専門家の間では、中共側が輸出許可を選別的に発給し、戦略的サプライチェーンへの支配力を維持しているのではないかとの見方もある。報道では、こうした状況は、中共がレアアース輸出規制の撤廃に同意したとするホワイトハウスの従来の説明と食い違っているとも指摘された。中共商務省は、現時点で回答していない。

これについて関氏は、中共にとって、米国に約束したからといって、必ずしもそれを履行するとは限らないと述べた。

「今日は約束しても、明後日には反故にする。しかも、公には反故にしたとは言わない。相手が求めるものを提供しないだけだ。アメリカが制裁を強めれば、こちらはレアアース、ほかの鉱物や原材料で締め付ける。今後数年、中共は引き続きアメリカに圧力をかけるだろう。現在は台湾問題を持ち出し、アメリカに公の立場表明を求めている。これは最高指導部の意向だろう」

強硬姿勢から交渉ペースの掌握へ

北京は数年前に、公然とした対抗や戦狼的な姿勢を重んじていたが、近年、その手法には変化が見られる。以前は強硬姿勢を外に示すことに重点を置いていたが、現在は交渉のペースや、その後に対応を変えられる余地をより重視するようになっている。

国際関係学者の孫国祥氏は、「以前の戦狼外交は、強硬姿勢を前面に出すものだった。今は表面的にはその姿勢が弱まったように見えるが、不確実性はむしろ増している。これは、習近平が国内の矛盾が深まるなかで、対外的な強硬姿勢を通じて自らの強さを示す必要に迫られていることを反映している。たとえば、過去の中共外交は、公開発言を通じて圧力をかけたが、今は交渉のテンポ、実行の度合い、議題の設定や進め方を通じて主導権を握ろうとしている」と述べた。

近年、北京は輸入拡大、購入計画、市場開放を示す姿勢をたびたび見せてきた。しかし、一部の公約については、その後の実行過程で、実施のペースや協力の範囲が後から変わるケースも出ている。

体制内の事情を知る肖凱林氏(仮名)は記者に対し、北京は最近、一部の議題で調整の余地を残すことをより重視していると語った。

同氏は、「以前なら米側の要求を直接拒否したかもしれない。今はまず小さな利益を提示し、その後ろにさらに大きな利益を用意して、相手が応じるかどうかを見る。アメリカが応じれば、次の段階へ進める。台湾問題では、米大統領が公に立場を表明すれば、中共はまず一歩優位に立ったと受け止める。第二段階では、アメリカに具体的な行動を求める。これが中共外交の新たな動きだ」と指摘した。

肖氏によると、現在、中共内部ではいわゆる「外交の主導権」がより強調されているという。

「以前は交渉できるかどうかが問題だった。今は、誰が交渉の主導権を握るかが問題になっている。中共内部では、交渉のペース、議題の方向をコントロールし、最終的な結果まで自分たちの思惑に近づけることがますます重視されている」

約束と実行の間に生じる食い違い

米中間では過去にも、購入規模や協力内容、実行のペースが当初の説明とずれることがあった。専門家の中には、北京の対外的な約束とその後の履行との間で、最近さらに大きな隔たりが生じていると見る向きもある。

北京の外交部門の退職者である龐氏は、「以前の対米交渉では、重点は協定に署名することだった。彼(習近平)の決定に基づき、交渉前にまず米側代表を牽制するため、あらかじめ準備した文書を読み上げ、それから協定について話し合っていた。今は発言や説明をたびたび変えるようになっている」と語った。

米中は近年、貿易、技術規制、重要鉱物、地域の安全保障をめぐって対立を続けている。龐氏は、北京が交渉段階では協力の姿勢を示し、その後の実行段階で後から対応を変えられる余地を残す手法を続ければ、今後、国際社会の中共への信頼はさらに損なわれる可能性があると指摘した。

王一波